▽ ページ16
_
それから、本当に三分も経たないうちに冷えピタと体温計と薬とゼリー、それに小さなボウルを持って寝室にやってきた隆二。
「さっき抱えた時、熱っぽかったからこれ。」
「ありがとう。」
されるがまま体温計を脇に挟み、しばらくして表示された数字は37.5度。
最近ずっと体が熱を持ってるようにぽかぽかしてたから、あまり驚かない。
「えっ！熱あるじゃん！」
「ううん。全然大丈夫。」
「…薬飲む？ゼリーとかは食べれる？」
「飲まなくていいや。」
隆二には言ってなかったから、彼は彼ですごい慌ててるけど。
色々抱えてて身動き取れなくなってる姿も可愛い。
「あ、もしかして胃腸炎かな？A胃腸弱いから…」
「…っ、ちょ、吐く…」
「え、これ、はい！」
会話もほとんど成り立たないうちにボウルとお友達に。
強制的に額に冷えピタも貼られて寝かされた。
「うげ…」
「よしよし、辛いな。俺ここにいるからな。」
「も、辛い…」
「泣いたら余計しんどくなっちゃうよ、一旦起き上がってここおいで？」
起き上がってベッドに腰掛けた隆二に抱きつく。
規則正しく背中をトントンと叩かれ、安心して涙が溢れた。
吐き気、涙も一旦落ち着いた頃、彼も布団に潜り込んできた。
「俺も寝ようっと。」
「ふふ、どうぞ。」
「どこが悪いのかな？」
「ん、どこだろうね。」
布団にくるまって向き合いながら話してると、急に襲ってくる眠気。
隆二の顔も眠たそうにとろんとしてる。
「Aちゃん、眠いの？」
「んんっ、ちょっとだけ…」
「おやすみ、早く良くなるといいね。」
「ぎゅーしててもいい？」
彼が名前にちゃん付けで呼ぶ時は、優しい時。
私の体調が思わしくない時。
決まってそう。
彼の胸筋に顔を近づけると、頭を優しく撫でてくれる。
それが心地良かったから彼の胸に顔を埋めて眠りについた。
_
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 82人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：葵
| 作成日時：2016年6月12日 11時
