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「っう、…何これ、」
「どうした？大丈夫？」
「無理っ、かも…」
かろうじて口元を押さえすぐさまトイレに駆け込んだ。
「おー、よしよし、辛かったね」
「しんど…」
「全部げぇーしたら楽になるよ？」
背中をさすりながら、小さな子供をあやすように、いや、呑み過ぎたおじさんを介抱するように声をかけてくれる隆二。
10分はトイレにこもっただろうか。
口から出るものが全部なくなってもなお、気持ち悪さは解消されない、というよりむしろ酷くなる一方。
「A、二日酔い？」
「いや、私二十歳になった日にお酒飲んでから一滴も飲んでないの、知ってるでしょ？」
「知ってる。」
「もう、からかわないでよ。」
いつもなら冗談交じりで返すはずの会話も、
私が低いトーンで返すから途端に悪い空気が二人を包む。
「立てる？支えようか、肩貸すよ？」
「あるける、…っと。」
隆二の手を借りて、すっと立ち上がったつもりが
目の前は真っ暗に、平衡感覚を失い倒れそうになる。
「…無理じゃん、危ないからじっとしててね。」
「うわわっ、…ごめん。」
すると、彼の細いけど筋肉質な腕は私のふくらはぎを通り、私の体はふわっと宙に浮いた。
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作者名：葵
| 作成日時：2016年6月12日 11時
