promise ページ5
「結婚か、」
そう呟いた声は誰にも拾われることなく、再び部屋に静寂が訪れる。さらに静けさを強調するかのように、外の風が吹き乱れた。
街のすぐそばにある広大な土地に、国の象徴ともいえる巨大な宮殿が聳え立っている。その中でも一際大きな部屋、王室のものでも限られたものしか入れない部屋で、一人の少年が冒頭の言葉を呟いた。その一人の少年こそこの国の将来を担っていく、若き王。名を、リョウという。
リョウは思い悩んでいた。これからの将来のことでもなく、はたまた今日の予定についてでもなく。リョウは目を閉じ、深く息を吸い込んだ。そして再び頭を悩ませた。
自分の恋焦がれたものに。
というのもつい先日、正式にこの国の王となったリョウはその日、側近であるフカベルにあることを言われていた。それも、さっきリョウが呟いたことでもあり、思い悩む一つの原因でもある、結婚についてであった。
もちろん、リョウ自身それについて考えたことはある。しかし、フカベルに言われるまでは気に留めることはなく、なんなら、言われるまでは気づかなかったほどだ。そのようなことをなぜ今、これほど悩んで、あの時持った熱を再熱させなければならないのか。
その理由に、リョウには心に決めた相手がいるというのがあげられる。ここまではっきりと分かっていることなのに、リョウは悩んでいた。その相手をどうやって見つけるのかを。どうやったら穏便にこの再熱した気持ちを、相手にぶつけられるだろうと。
普段ならすぐに頭が働き解決できそうなことなのに、ここまで相手を思う気持ちが強ければこうなってしまうのだろう。なんとなく、ヒーカやフカベルの気持ちがわかった気がする。と、リョウは頭の片隅で共感を憶えた。
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ai64955956(プロフ) - 向かい風さん» ありがとうございます!そうゆうお言葉をいただくととても励みになります…! (2021年10月17日 18時) (レス) id: 15933a666a (このIDを非表示/違反報告)
ai64955956(プロフ) - ABさん» そうです! (2021年10月17日 18時) (レス) @page3 id: 15933a666a (このIDを非表示/違反報告)
向かい風 - めちゃくちゃ面白いです!!更新頑張ってください! (2021年9月27日 5時) (レス) id: 500150795e (このIDを非表示/違反報告)
AB - このお話は、あなたが一から全て自分で考えた設定ですか? (2021年7月1日 11時) (レス) id: dec0e2be0d (このIDを非表示/違反報告)
ai(プロフ) - kumiさん» ありがとうございます!最近、私情で色々立て込んでいまして、時間があるときに更新させていただきます! (2021年5月16日 16時) (レス) id: 700f052364 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ai | 作成日時:2021年4月9日 0時