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満開に咲く桜の花弁が舞い落ちる。
空は綺麗に晴れ渡っていて、誰が見ても 良い天気だと答えるだろう。
今日は、入学式。新学期の始まり。新たな仲間が待つ、希望に溢れた季節。
泉原中学校に通う私__
少女漫画に居るようなイケメンと曲がり角でぶつかれば話は早いのだけど、そんな都合の良い事は現実では起こらない。
結局一度も口から離す事はなかった食パンを無理矢理食道に押し込んで、イモ臭い制服のリボンを直しながら、私は趣のある校門を通って行った。
いつも生活委員が挨拶をしに集まっている昇降口付近に、今日は人がわんさかと集まっていた。
クラス発表の用紙が張り出されたみたいだ。私は浮き足立ちながらそこへ向かう。
「お、ニコちゃんおはよ〜。」
背後からのんびりとした特徴的な声をかけられて、思わず顔を綻ばせながらそちらを向く。
「莉緒ちゃん! おはよう、久し振りだね!」
相変わらず暑苦しいなぁ、と呟く彼女は《
春休みに入って、ちょっと痩せたんじゃない? と心配するけど、それはどうやら気の所為らしい。二人で昇降口へ向かう事にした。
「クラス、一緒で良かったね!」
「うん。これで七連続……になるねぇ。」
「流石我が大親友! 回数も覚えてるなんて天才すぎるよぉ。」
不安と期待が入り混じったクラス発表の結果は、上記の会話の通り。
小学二年生からずっと同じクラスである莉緒ちゃんと例年通り一緒になれて、ほっと胸をなでおろした。
ボブカットの髪をふわふわと揺らして隣を歩く莉緒ちゃんを眺めながら (キモチワルいって言われた!) 私達は新しい生活が始まる教室へ向かうのであった。
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作成日時:2021年4月11日 10時