人間界デート ページ32
フクロウは、まだ私を抱きしめている。私も、フクロウの首に腕を回してそっと抱きしめた。
触って改めて思ったけど、まだ震えている。フクロウは、何故か女性がすごく苦手だ。頭を優しく撫でて、言う。
「大丈夫よ、フクロウ… 大丈夫だからね。」
「…」
返事をしないけど、深呼吸をしているのが分かる。落ち着いてきたみたいだ。フクロウの肩をそっとつかみ、彼の顔をまっすぐと見る。
「まだどこか行く? もう帰る?」
「…もう、帰りたいです。でも、さっきは楽しかったです。よければ、別の日にまた遊びに行きたいです。」
「そう。じゃ、帰ろう。」
私はまたフクロウの手を握り、家路を歩きだした。手は、とても温かかった。
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家に着いて、勉強を再開しようと思い机に向かおうとした。が、フクロウが私の腕をつかみ強く後ろに引いた。
「わっ!」
そのまま後ろにあったベッドに押し倒され、手を握られる。フクロウは、顔をぐっと近づけてくる。
「A、私は… A以外の女性が怖いです」
「知ってる」
「だから… 今の私にはあなたしか居ないんです。私は、Aが好きなんです。」
「…え?」
好き? フクロウが、私の事を?
好き… 恋愛感情として? それとも友情? ああ、わからない。恋愛ととっていいの。 でも、私は… 私は、フクロウの事を…?
「私は… あなたを今すぐに私のものにしてしまいたいんです。
あなたが、少女から女性になるまでに、あなたが他の男を見つけるのが怖いんです。」
「…フクロウ」
「私は、どうすればいいのでしょう…」
…ああ、やっぱりそうだ。このヒトは、すごく怖がりだ。以前のことがあってから、裏切られることと失うことを異常に恐れている。
私は、握られていない右手でフクロウの頭をまた撫でる。
「あのね… あなたがいろいろなことが怖いのは知ってるわ。でも、信じて欲しいの。」
「…と、言うと?」
「私は… 私も、あなたがすごく好きだわ。あなたを愛してる。
だから、私はあなたを嫌いになることはない。この先も、ずっと。私がもっと大人になるまで、信じて待ってて欲しいの。」
「…!」
フクロウは顔を赤らめ、押し倒す姿勢をやめて座りこんで、俯いた。私も起き上がり、その無防備な頬にそっと唇を寄せる。
「…もう怖がらなくて、いいのよ」
フクロウは、そっと頷いた。
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スプラMOMIZI(プロフ) - ポンズイさん» コメントありがとうございます!忙しいためたまにしか更新できませんが頑張ります(^^) (2019年6月27日 7時) (レス) id: e49f68cb2e (このIDを非表示/違反報告)
ポンズイ(プロフ) - この作品を読ませて頂きました!本当に面白いです!!これからも更新頑張って下さい!!更新楽しみです!!(^ν^) (2019年6月25日 19時) (レス) id: 8014d49c6f (このIDを非表示/違反報告)
スプラMOMIZI(プロフ) - 真利奈さん» コメントありがとうございます!フクロウいいですよね…かっこいい… これからもよろしくお願いします(^◇^) (2018年8月10日 8時) (レス) id: 747e2b3768 (このIDを非表示/違反報告)
真利奈 - 私、フクロウが好きなので生きていて良かったです!とても面白い作品なのでこれからも更新するのを頑張って下さい! (2018年8月9日 23時) (レス) id: a3edb60187 (このIDを非表示/違反報告)
スプラMOMIZI(プロフ) - ヒカルさん» ありがとうございます!なんなんでしょうねあの方ねぇ、これからもよろしくお願いします(^∀°) (2018年8月9日 12時) (レス) id: 747e2b3768 (このIDを非表示/違反報告)
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