【鬼滅の刃】私、一度死んでます。その弐【ツイステ】 (ページ30)

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第漆拾捌話ページ30

A視点

走ろう、って考えたときは学園にいたのにもう浜辺に来ていた。

とりあえず刀を置いて、草履を脱いで足を水にさらす。冷たい水が気持ちいい。昔もこうだった、鍛錬が上手くいかないときは散々師範に八つ当たりして走って。そして海に来て「師範の馬鹿」とか叫びまくってた。今思うと八つ当たりとか幼稚だな。

『師範、見ててくれてるかな。』

師範のことを考えると、悔しさしか思い出せない。大切で大好きな人を醜い感情で穢してしまう自分も大嫌いだ。大嫌いだ。

『師範の馬鹿！！！！何で先に死んじゃうのよ！！！！せめて祝言は見たいって言ったじゃんか！！！何で、何で行っちゃうのよ！！！！置いていかないでよ、！！』

嗚呼師範、ごめんなさい。最後、「ちゃんと幸せになりなさい。」って言ってくれたよね。何回も「Aにできないことはない。何でもできるよ、絶対にね。」って言ってくれたよね。

それなのに、私は暗くて。思考が暗くて、師範に迷惑いっぱいかけて。そんなの継子として恥ずかしいよね。出来が悪くて馬鹿にされて、何でもかんでも文句をつけられて。
それは弱者だから当たり前、弱肉強食よ。

そのころの私は馬鹿だから、師範のせいだって。師範がこうやって育てたから悪いんだって考えて。
それは今でも変わらなくて。別に一般人を見捨ててもいいのに、やらなくてもいいのに無理に救おうとして。それでいて思い出して怒りが込み上げてきて、周りの人に迷惑かけて。

『私が師範の代わりに死ねば良かったのに。』

「そんなこと言わないでください。」