今日:2 hit、昨日:8 hit、合計:21,893 hit
小｜中｜大
60 ページ10
先に焼きそばを買ったシゲが
列に並んでいる私のところに来ると、
よっ！と言いながら笑顔で手を上げた。
｢なんか会うの久しぶりな気ぃするな｣
｢そうだね｣
あのフットサル以来会っていないし、
連絡を取ったのも仲直りの電話が最後だ。
結局、シゲとは夏休みにはほとんど会えなかった。
それが今こんなタイミングで偶然会えても
全然嬉しくない。
｢Aは誰と来たん？ふみちゃんとか？｣
｢あー、･･･のんちゃんとだよ｣
知られたくないと思いながら、
1番聞かれたくなかったことに答える。
｢そっか、仲良いもんなぁ｣
｢うん、まぁ｣
そうやって、私のことなんか
まったく興味がないという態度を取るから
とても傷つくんだ。
｢俺はー、バイトのやつらと来た！｣
｢そうなんだね、じゃあシゲ買い出し？｣
｢そうそう！ほんまパシりやがってー｣
｢あははっ、おつかれさん！｣
｢ありがとう、んじゃ行くわ。
また連絡する｣
｢うん、じゃあ｣
｢あっ！･･･浴衣！ええな！
Aに似合ってる｣
｢ありがとう｣
屋台の提灯の明かりに照らされた
シゲの笑顔に胸がズキリと痛んだ。
悟られぬように笑顔で手を振る。
浴衣を褒めてもらえたことだけを単純に
喜べたらどれだけよかっただろう。
あんな顔をしておいて、まだごまかそうとするんだ。
嘘つき。
シゲが手に持っていた焼きそばは2つだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 326人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひろか | 作成日時：2019年11月12日 18時
