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神ちゃんから招集がかかったのは
9月に入ってすぐのことだった。
「帰ってきたー!今から集まれるやつおるー?」
グループLINEに連絡があって、
あれ?夏休みギリギリいっぱいまで地元にいると言っていたのにと思う。
夜の22時を回っていたけれど、
のんちゃん、流星くん、ふみちゃんと私が集まった。
シゲはバイトなのか既読すらつけていないと思われる。
居酒屋に集まると、神ちゃんが開口一番
「振られた〜」と笑った。
みんな一瞬びっくりした顔をしたけれど、
のんちゃんと流星くんは笑いながら
神ちゃん振られ記念かんぱーい!と言って、
ジョッキを打ち鳴らした。
そういうテンションちゃうねん!なんて言いながら
神ちゃんも楽しそうに笑ってかんぱーいとジョッキを高く持ち上げる。
ふみちゃんは少し固まったあと、
「どうして急に?」と神ちゃんに聞いた。
「なんか社会人と学生の違いを思い知らされたみたいな感じかな」
からあげを食べながら、なんでもないという風な言い方でそう答えている。
「そんなに違いってあるのかな?」
納得いかないといった表情でふみちゃんが尋ねた。
「あるある。俺が学校終わりにコツコツ
バイトで貯めた金なんかより全然給料ええしな。
彼女も気ぃ遣って奢ってくれようとするし、プライドズッタズタやで」
そう言ってまた少し笑うと真顔に戻って
「好きなやつできたみたいやし」と呟いた。
「後輩もできて、責任感強なったみたいやし、
お気楽な学生より職場の先輩のが
輝いて見えるんは、しゃあないのかなって思う」
遠距離やしな、やっぱ限界あるよなと言うと、
泣きそうな、笑顔と呼ぶには無理があるような
なんともいえない表情を見せた。
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作者名:ひろか | 作成日時:2019年11月12日 18時