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結局、次の週のゼミでも藤井くんにお礼を言えず、
話しかける勇気がなく撃沈した。
重岡くんはかっこよかった。
あっという間にゼミ飲みの当日。
集合時間までふみちゃんと大学で時間を潰しながら、
念入りに髪とメイクを仕上げる。
「変じゃないかな?」
「大丈夫!いい感じ。
私も神山くんに見てもらえるように気合いれる!」
ふみちゃんとこんな話をしているのがなんだか不思議。
今まで、ふみちゃんの恋愛の話はたくさん聞いたけれど私は高校を卒業してから
彼氏もいないし、恋すらしていなかったから
やっぱりこんな風にできるのは楽しい。
「お互い今日は話せるように頑張ろう!」
ゼミ飲みには半分以上ゼミ生が集まった。
中間先生が先輩5人を引き連れてやってきて、
それなりに大所帯となった。
肝心の重岡くんたちとは少し離れた席になってしまったし、
酔った先輩が私とふみちゃんをマークして離れない。
「Aちゃんもふみちゃんもかわいいよね〜
俺らのゼミなんて女の子1人もいないんだよ!
いいな〜俺も下の学年がよかったぁ」
「はは、そうなんですね〜」
さっきからこんな相槌を打つばかり。
ふみちゃんも明らかに不機嫌。
重岡くんたちの方を見ると、重岡くんが席を立つのが見えた。
こっちにやってくる。
先輩の肩を掴んで
「たーなかさん!飲みすぎですって〜!
女の子困ってますよ〜!」
「なんだシゲじゃーん、いたのかよ」
「いましたよ!俺のこともかまってくださいよ〜」
そう言いながら小声で、今のうち小瀧たちんとこ行きと促された。
さっと立ち上がり、小瀧くんたちがいる席に移動する。
重岡くんの方を見ると、あとで行くと口パクで言って、にかっと笑った。
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作者名:ひろか | 作成日時:2019年10月28日 18時