生の延長[wrwrd][男主] (ページ1)

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1話ページ1

「ふっ、ははははww」

「な、なんやねん、笑うなや、、、」

なんでもない、日常の一頁。

今日はどうやら、大先生が水場の蛇口を壊してしまったらしく、タオルを求めて幹部専用談話室に訪れてきたのだ。

「てか、なんで自分の部屋行かんねん。タオルくらいあるやろ？」

ビショビショに濡れている大先生を見て大爆笑している俺、と、意味が分からないとでも言いたげに大先生を咎めるトントンは、先に談話室に居たのだ。

そしてそこに現れたのが大先生で、談話室に入ってくるなりおずおずと俺とトントンの方に歩いてきた大先生が放った第一声を思い出し、トントンの言うことに同調して見せれば、大先生は「ちゃうねん」と首を振った

「自分の部屋、いっつもはちゃんとタオルあんねんけど、今は全部洗濯に出しとんねん。」

なんでだ、と理由を聞いてみれば、どうやら先日の大雨の日に雨に濡れて外から帰ってきた前線組の奴らを拭くのに使ったとかなんだとか。

「全く大先生は、、そういうところだけは気が利くんだから困ったもんだよな」

やれやれ、と首を少し俯かせ、床に置いていた小さめのバッグからタオルを取り出し、大先生に「ほれ、」と言って渡す。

「そういうところだけってなんやねん、俺はいっつも優しいやろ？」

そう悪態を吐きながらも感謝の意を述べてからタオルを受け取る大先生は、矢張り意外と律儀であることは明白である。

その一連の流れを見ていたトントンが、なんで持っててん、とこちらに問いかけて来る。

思考するまでもなく、タオルのことを言っているのだろうと察する。

「んあー、まぁ談話室に持ってくるやつ居ないもんな、当たり前だけど。
俺はただ単純にこのあと自主訓練行こうと思ってたから汗拭く用に持ってただけだよ。」

あぁ、あとそれ洗ってから返せよ。と大先生に向けて言う。

トントンは俺の返答に納得したのか、ほぉん、と自らが聞いたのにも関わらず特に気にする様子もなく新聞を再度読み始めていた。

「まぁええわ、ありがとさん、そんじゃ僕はここで」

用が済んだ大先生は、そう言って踵を返し手を振り去っていく。それに手を振りながら「じゃあな〜」と見送る。

その後数分駄弁っていれば、トントンもそろそろ仕事に戻ると談話室を出ていった。

2人が出ていったあとの談話室で、1人クッキーを齧る。

そのクッキーはコーヒー味。
ほろ苦い味と良い香りが五感を擽る。

それが、俺の日常の最後の一頁。