【HQ】▼幽霊マネな常識事項。

０３ ページ11

「…ハイ？」



らしくない必死の呼びかけに誰しもが何事かと田中さんに視線を集める。



そんな中、彼は口をアワアワさせながら。






「そそそそ、それ、３０分以上乗っ取られた人がいるらしいんだけど、その人３０分きっかりで死んだって！」






たまたま見ていた霊感のある人の話によると、乗っ取ってたほうの幽霊も体と魂が合わなくて消滅したらしいって…ウソだろ？




「田中さんページ最後まで読んでなかったんですか！？」

「読んでねーよゴメン！」

「謝るくらいなら最後まで読め！」



「ぎゃああああああ！Aッ…体！俺の体ァァ！」


「返す！日向返すから落ち着いて一旦！まだ１５分だから！」





阿鼻叫喚、絶叫祭り、大パニック。


各々が奇声を上げる中、世界初であろう肉体早脱ぎ。




空になった体に日向が飛び込んだから事なきを得たけどあっぶな。超危なッ。




▽








田中さんの不備事件の後、皆の練習は通常通り行われ今は放課後。



日向がジャンプするたび「浮いてた時はもっとこう…」とか呟いてたんだけどいや無理だからね？もう私は懲りたよマジで。



まあ、体があったらスイーツを食べる以外にもやりたいことはいっぱいあったんだけどな。


人生とはそう上手くはいかないモノらしい、とため息をつきながら、いつも通り「じゃあな」と手を振って帰っていく皆に「バイバーイ」と応えた。




がらんとした体育館が閉館されるまであと３時間。



心霊現象が起きすぎるせいでもうすでにここに立ち寄りたがらなくなった用務員さんをからかうには早すぎるなと、床とライトのちょうど中間の空間に大の字で浮く。





…と。




「…何それふて寝のつもり？そんなにスイーツ食べたかったの？」





下から聞こえたのは、独特のアクセントですぐにそれと分かる月島の声。




帰ったはずのその声が不意打ちすぎて１メートルほどずり落ちた。

０４→←０２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す