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周囲の風景は完全な夜中で、どれだけじっくり観察しても俺の故郷の町にそっくりな風貌だった。
俺は、確かに直前まで死刑台の上にいた筈なのに、どうして今は此処にいるのか。
純粋な疑問を投げて寄越せば、俺の隣に昔の様に座る彼女はバツが悪そうに。俺から視線を逸らしながらも教えてくれた。
「…君、前に百鬼夜行に出くわした事があるでしょ？また別の場所に行って、ああなってないかなー…なんて。思って見に行ったら、ああなってたじゃない？…だから、その…」
こっち側に、引き摺り込んだの。
「本当はダメなんだけどね」
「…こっち側？」
「この世界の事だよ。此岸と彼岸の境目。私みたいな、中途半端な奴が送りこまれる…まあ、異世界みたいなもの。」
いつもの怖がりな俺だったら、きっとその話を聞いただけで怯えていたと思う。
…けど、話をしてくれたのが彼女だったから。
その彼女が、あんまり悲しそうに言うから。
だから、存外非現実的な事実を受け入れる事が出来たんだと思う。
「…それじゃあ…此処、俺のいた場所じゃないの？見た目は俺の故郷そっくりだけど…」
「うん。…此処は、私が…」
…そこで、彼女は押し黙る。
なんとも不自然なタイミングでの沈黙。
俺に気を遣ってその先を言わないでいるのか、それとも彼女自身が言いたくないって思っているのか…
…でも、なんとなく後者なんだろうなって。そう感じた。
「そ、それより！・・・ほら、君は此処から出ないと！」
「え？…なんか、前よりも早いね」
前に会った時よりも、お別れの時間が来るのが早い。
再会の余韻に浸る間も無くそう告げられ、思わず疑問の声が漏れた。
彼女は、それにさえ嫌な顔ひとつしない。
「あの時は現実の世界で、あいつ等が消えるまで待たないといけなかったからね。…でも、今回この世界では、…今日だけは、私の好きなようにできるんだ」
彼女はそう言うと、俺の腕を掴んで何処かに引っ張ってゆく。
あの時俺達が隠れていた草が生い茂っている場所も通り過ぎて、土手を登って
「…此処、」
そうして連れてこられたのは、あの時お化け達が我が物顔で行列を作っていた道。
その道のど真ん中。森に近い場所に、大きな黒い靄がかかっていた。
…流石にちょっと怖くなって後ずさろうとすると、それを阻止するかの様に声を掛けられた。
「この靄に飛び込めば、帰れるよ」
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sdfhowfd(プロフ) - にこさん» 俺得を第一に書いていた小説にそう言ってもらえて本当に嬉しいです！コメントありがとうございます！ (2018年7月15日 18時) (
レス) id: 6b862137a1 (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - 語彙力なくてすみません…好きです… (2018年7月13日 17時) (レス) id: d94860a230 (このIDを非表示/違反報告)
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