セブチの謎多きPDは日本人です。 (ページ45)

今日:12 hit、昨日:9 hit、合計:73,013 hit

#　ウジページ45

やらかした。

昨日の夜の記憶がぶっ飛んでいる。

深夜、というかもはや明け方に目を覚ました俺は、酔いの覚めた体でキョロキョロと周りを見渡した。

寝室であろう部屋に敷かれた布団、部屋の一角にはベッドが置いてあり、ジュニが寝息を立てていた。

敷かれた布団には俺、ミョンホ、リユウが寝ている。

現状を把握したところで、取り合えず水を飲もうと立ち上がった。

～～～～～

キッチンの水道から水を出し、喉を潤す。

コップ一杯飲み干して、ふと視線を走らせる。
すると、引っ越してまもない部屋であるはずが、暖かみのある色味で生活感のある空間であることを改めて認識できた。

コト、と何かが倒れる音。

どうやら、日本語で書かれた文庫本が敷き詰められた本棚の上で写真立てが倒れたらしい。

そこまでゆったりとした足取りで歩み寄る。

静かな部屋独特である自分の鳴らす音がやけに耳の奥で響いた。

「…」

倒れた写真立てを直すとき、さり気無く中の写真を覗いてしまった。

ユウリ、と誰か女の人のようだ。

誰だろう。

ユウリが関わる女性といえば、ジウヌナしか思い付かないが、年が全く違うようだ。

学生のころの写真だろうか、桜の下で幸せそうに笑う二人は、制服に身を包んでいた。

食い入るようにジッと見詰めるのを辞め、ふと下に視線を移すと大量の文庫本や、文芸書が目に入った。

そのうちの一冊を手に取り、パラパラと捲ってみるが全く読めなかった。

『52ヘルツ』

辛うじて読めた題名の一部。

どうやら、あの声の届かないクジラ絡みの内容らしい。

ミョンホのように本が特別好きなわけではないが、あとでユウリに訳してみてもらおうか、なんて。