Wellcome to the !!!!!!!21

2021.12 ページ33

『それなに？』

「いらん服持ってきた」







楽屋に入ってきた誠也くんが、珍しく大きな荷物を抱えてる。

有名なお店のショッパーに、ぱんぱんに入った洋服たち。








「後輩にあげよ思て」

『…あたしは？』

「え？…いる？」

『いらんけど…ほしい』

「なんなんそれ」








ぜんぶ誠也くんのお下がり。

なんとなく広げてみるとさすが、全部綺麗。

メンズのTシャツとか全然着やんし、べつに欲しいわけじゃないけど…。







「おまえそんなん着いひんやろ」






詰まれた洋服たちを広げて鏡に向かって合わせてみると、横から覗き込む誠也くん。







『…』

「…なに？」

『着いひんけど』

「なによ」

『…なんか嫌』

「なにが？」

『あたしも欲しい』

「…なんで？ええけど」








やって。やってさあ？

手に持ったソレは、誠也くんの匂い。
お下がりやねんから、そらそうやねんけど。
後輩にあげんの？








『…どれがいい？』

「ええ？Aが着んの？」







俺が選ぶんかいな、と袋の中をがさがさ漁り出す。


正直まじでどれでもいいとか言われへん。言ったら絶対どつかれるもん。


誠也くんが洋服を取り出しながら話し出す。









「何が嫌なわけ？」

『なにが？』

「何がって、さっき嫌や言うたやん」

『…あたしも欲しい』

「やから何が、……後輩にあげんのが嫌ってこと？」










袋を覗き込んでいた誠也くんが顔を上げて、私をじっとみる。

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