2021.11 ページ30
レコーディングが終わってから気付いた。
今更と思われるかもしれへんけど、でも、どうしても、譲られへんくて。
分かってしまってんもん、あたしじゃないって。
絶対に、あたしよりも。
『私のパート、全部リチャくんに回してください』
「…まじで言ってる?」
『お願いします。とりあえず、レコーディングだけでも。一回、リチャくんで聴いてみたいんです』
この曲は間違いなく、まさにうちらの名刺代わり、切り札になるから。
やから絶対に、ひとつも、取りこぼしたらあかんと思った。
誠也くんの声がミックスされた音源を聴いた時、鳥肌が止まらんくて。
これを今度のオリックスと城ホールで披露する、絶対いつかはドームで披露する、その景色までも見えてんもん。
多分、ほぼ泣いてた。
やから大倉くんは、あたしのお願いをすんなり聞いてくれたんかもしらん。
末「なんで?」
『一回、リチャくんバージョンも聴いてみてほしいんです。あたしよりいいものができるかもしれへん、できると思う』
末「…でもAの歌詞やん」
佐「Aちゃんいつも言うてるやん、言葉と声が自分の武器やって。それをなんで譲るん?」
『誠也くんの高音を引き立てるように、リチャくんのも聴いてみたい』
元はと言えば、大倉くんに新曲のリリック書いてみるかと声をかけてもらって。
提供してくれることになってたミュージシャンの方にお世話になって、アウトロをまるっとラップさせてもらえることになった。
曲を提供してくれて、あたしの歌詞を編曲してくれたおふたりにも、大倉くんにも、何よりあたしを認めてくれているメンバーにも。
申し訳なくて、でもどうしても、誠也くんとリチャくん2人のボーカルがええんちゃうかって。
正「Aは俺らと違って、曲を作る立場やろ」
正「Aは、自分でやるより、リチャくんがやった方が曲の完成度が上がるって思うんやな?」
『うん』
末「…俺は分からんわ、Aの考えてること」
ちょっと頭冷やしてくる、と誠也くんが練習室を出ていく。
『…まって、誠也くんまって、』
リ「A待ち、いま行くな」
リチャくんの声を振り切って追いかける。
誠也くんはきっと、あたしに冷たい言葉を掛けへんために出て行ったんやって、分かってる。
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はに(プロフ) - kkさん» わ~嬉しいですありがとうございます🥲思う通りに全然表現できなくて、伝わらないかなあと思いながら書いてたので本当に嬉しいです🥹🎀そこの関係性はもっと深くなる予定ですし、他にもでしゃばってくる予定です🌟ありがとうございます (11月9日 21時) (レス) id: 8b923b9c56 (このIDを非表示/違反報告)
kk(プロフ) - はに様の更新を最近の楽しみにさせて頂いてます❤︎メンバーとの絶妙な距離感(特に💙や❤️)がめちゃくちゃ大好きです❤︎これからも更新楽しみにしています🥹💕 (11月9日 10時) (レス) id: 797470a670 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はに | 作成日時:2023年10月11日 20時