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「よっ。入れて」
『ありがとう、来てくれて』
「おー」
ドアを開けるとホテルのパジャマ姿の誠也くん。
何でも似合うな、このひと。
「顔色は悪くないな」
『うん』
誠也くんがベッドに腰掛けてスマホを操作すると、私のスマホが光る。
誠也くんA、俺とおるから
「遠慮せんと何でも言いや」
『…誰かとおっても、たぶん寝られへんしなーと思って』
「ひとりよりマシちゃうの？」
『んー』
「怖ないん、ひとりでおんの」
間髪入れずに、【了解】の返事が5件。
みんな、通知音出してくれてたんかな。起きてた人もおりそう。
『…ドア開けんのとか、怖いねん』
「…全部開けっぱなしやもんな」
『おるはずないって分かってんねんけど、』
「うん、ベッド入んで」
あたしのベッドやねんけどな。
我が物顔で寝転ぶ誠也くんに腕を引っ張られて、ベッドに入る。
「こっちおいで」
強制的に腕枕をされて、ぎゅっと抱きしめられる。
いつもの誠也くんの匂いじゃない。
アメニティかな。
『…目瞑ったら、顔思い出すねん』
「うん」
『黒目がちやった、眼鏡おっきめで、』
「言うな、言ったら覚える」
『…』
「いつか忘れられるから、言わんでええ」
誠也くんのじゃない、知らない匂い。
脳裏に浮かぶあの顔が、ジッとこっちを見つめてる。
「…俺の顔見える方がいいか」
腕枕のままもぞもぞ動いて、ジッと真正面から瞳を合わせてくれる。
『…ん、ありがとう』
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作者名：はに | 作成日時：2023年6月19日 13時
