2018.10 ページ3
『…ええ、と？』
「めちゃくちゃ才能あるで、お前」
『あ、ありがとうございます…』
いつか、なにわ男子に曲を提供したい。いずれ、廉がいるキンプリにも。
一心発起、大倉くんに自作曲を持っていって以来、秋の梅芸に向けて一緒に作業させていただけることになって。
身の上話なんかもするようになって、数日経った。
『グループってまさかその、なにわ男子みたいにってことですか…？』
「新しいグループ、また作るつもりやねん。おもろいグループにしたい」
おもろいゆうたって、まさか。
「まず、曲作れる。このデモ、上ハモ下ハモ、ラップも、全部おまえの声やろ」
『そうです』
「じゃあ、こんだけ歌えて、自分でMIXもできるってことや」
『はい』
「てか、ラップめっちゃうまない？」
『元々ヒップホップすきで…』
「プロ並みやんな。ダンスは？」
『得意…やと思います』
「んでその顔とスタイルな。DJもすんねやっけ？」
『趣味程度ですけど』
「…正直、男やったらなとは思うで」
『はい』
「でも、女やからって手離すには勿体なすぎる。おまえは絶対に強みになる。新グループに欲しい」
『…有難いですけど…』
まさか、そんなことある？
本気で言ってるとしたら、大倉くんって相当、
「…ま、俺も考え無しにこんなこと言うてる訳じゃないのは分かってや。」
『それは勿論、ですけど、正直…』
「何？」
『…正気ですか？』
「なんてこと言うねん」
けたけた笑うから、余計にわからなくなる。
良い訳がないやろ、女がおるグループなんて。
「一回考えてみてや。メンバーは何人か目星ついてる」
『はあ…』
分かりました、と返事したけど、脳内には「できる訳ない」「無理やろ」「何を言うてるんや」の羅列。
…あかん、先輩に考えろって言われてるんやから、ちゃんと考えやな。
"無理"やと思うなら、じゃあどうしたら"いける"か考える。
…いや、どう考えても無理やろ。
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作者名：はに | 作成日時：2023年6月19日 13時
