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正門くんに抱っこされてステージ裏に入ると、メンバー全員が揃った。
末「何があったん」
小「知らん男がAの腕掴んで引っ張ってた。下手の外周で、ステージの下から。俺が見た時はもう半身出てて、頭から落ちる直前やった」
末「怪我は？」
『ないよ』
小「腕見してみ」
赤くなった跡。多分もうちょっと酷くなるやろうな。
『隠せばいけるやろ』
小「…A、笑わんでええ」
『……さっきの人の顔がでてくんねん、目の前に』
正「…俺の顔見て」
小島はいつもそう言う。
辛い時こそ笑顔を貼り付けがちな私に、笑うなと。
脳裏に焼きついて離れない顔を誤魔化すように首を振ると、正門くんは私の腰をぐっと引き寄せた。
もつれた足はそのままに、正門くんにもたれかかってジッと顔を見つめる。
正「…マシ？」
『うん』
正「ん、そのままずっと見とき」
正門くんはこの体制のまま、この後どうする、と会話の先導を切った。
いきなり曲入るんは良くない、MC挟むか、なにわに先やってもらうか、いま何分押してる？、どれか削らなあかん？
会話の内容は聞こえてるのに、大事なことは一個も頭に留まってくれへん。
まだ混乱してるんかって自分で気付いた頃には会議は終わってた。
正「A」
『、なに？』
正「いけるか？」
『いけるよ』
正「今なにわが出た。MC挟んで2Facedから再開。Bring it onとGAME OF LOVEは、Aのパートはリチャくんがやる。いいな？」
『…出やんほうがいい？』
あ、やばい。泣きそう。
声が震えて伝わったのか、正門くんが私の頭を撫でた。
正「…アンコール、出るかは自分で決めり。ひとりにはせんから」
小「A。ちょっと待ってて。どこでも良い、ここでも楽屋でも袖でもいいけど、ひとりにならんとって。わかった？」
『、わかった。いってらっしゃい』
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作者名：はに | 作成日時：2023年6月19日 13時
