蝉の両片思い

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私は打撃を受けた


そんなはずはない

そんなはずはないって


何度もコートを見るけどそこに大好きな彼の姿はなくて


横を見ると声を出して何か言っている彼の姿がある






ねぇ

なんで


あの時、なんもないって言ったんですか？


悔しくないの？




彼なりの理由があったはずなのに


頭の中に疑問がとまらない






ここにいたらダメだ



このままだったら自分が汚い人間に思えてくる




帰ろうとギャラリーをでた






「A!!」



その声に足を止める


なんでなの


どうして、こんな時にあたしを引き止めるの




「私は瀬見さんのバレーに魅せられてバレーを始めました。
絶対に瀬見さんが1番んなんだって、思ってたんです。

なのに、なんでよりにもよって白布にまけてんですか！」


「わり」


「白布なんてまだまだ尻の青いガキじゃないですか！
あいつはスポ推じゃないし、絶対瀬見さんの方がうまいのに。」



自分のことのように涙が止まらない


「瀬見さんは悔しくないんですか!?
あとから入って来たやつに居場所をうばわれて」



本人が1番辛いはずなのに
なんでそんな本人にあたってんだろ


ばかみたい




「ｸﾞｽｯ))ごめん、なさい。

わたし、私。」



「お前をそんなに泣かせちまって悪い。

大切なやつ泣かせるなんで最悪だな、俺」


「え？」



ポンポンといつものように頭を撫でる瀬見さんの手は少し震えていた


そぅだ
悔しくないわけがない


私はもう一度「ごめんなさい」と
彼のシャツの裾を握った



「ｸｽｯ))ほら、泣くな泣くな!!
もうすぐ雨降るからお前帰り気を付けろよ？」



ほら、優しい人なんだよ

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