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それに同意し、踏切を渡って駅のすぐ裏に広がっている浜辺に辿り着く。


「やったぁぁーーーー!!!海だぁぁーー!!」

「落ち着けAケガすんぞ」

とか何とか言いつつも、夕暮れで人がほとんど帰ってしまった浜辺には山を作った形跡があるだけでケガする要素は見当たらないのだが。



なんだかすごく静かで心が落ち着いている
さっきまであんなに馬鹿はしゃぎしていた自分が恥ずかしくなってくる。
たぶん、いうなら今しかない。

今日一日すんごい楽しかったし、お揃いのシューズも買った。
占いも1位だった。
もう何も思い残すことは、ない。


「A??どーした?急に静かにn」

「瀬見さん!!!!」

「ぉ、おう??」

深く深く呼吸をした。

よし!言え!私!!

「私!!瀬見さんのことg!!!???」

chu....

目の前にある大好きな人の顔、触れた彼の少しだけ薄い唇
彼の優しい匂い。

状況を理解するのに数秒かかった。
「・・スキ」
彼の口からそう呟かれた。

信じられなくて、嬉しくて嬉しくて泣いてしまいそうでギュッと目をつぶった。

「A」

瀬見さんのお腹辺りの服をぎゅっとつかみ、そのまま頭を寄せた。

「私も、スキです」

「ん、知ってる」

瀬見さんは照れたように言って、両手で私の頬を包んでおでこをこつんと合わせた。


近すぎる距離に恥ずかしさを感じて、どちらからともなくへへへっと笑ってしまった。









「私、瀬見さんに言わなきゃいけないことがあるんです」


私はいう決意を固めた。

繋ぐ手に力がこもった。

握り返してくれる喜びに浸りながら、紺碧に染まっていく海空を見つめた。



「私、さっき嘘、ついちゃいました。」

「?」

「私、今年の春高予選、出れないんです」

ちょっとだけの沈黙が少しだけ心苦しかった。

やっと心が通じ合って、誰よりも近い距離に入れるのに
また嫌われてしまうかもしれない
怒られちゃうかもしれない


「なんだよ、それ」

身が固まるのが分かった。

「どいうことだ?」

「ごめんなさい。ごめんなさい。」

体が震える。


「いいから」

瀬見さんはぎゅっと私の両手を握って、私を見ていた。

「引っ越すんです。」

「は」

「家庭の事情で東京に。」



俺は一瞬が止まったような錯覚に呑まれた。

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South(プロフ) - 天瀬 優梦さん» コメントありがとうございます(^-^)私も書きながらにやけちゃってやばいです(//∇//)\これからも応援よろしくお願いします (2016年9月8日 19時) (レス) id: 811d3afd03 (このIDを非表示/違反報告)
天瀬 優梦 - 顔がにやけちゃいますw (2016年9月8日 17時) (レス) id: d5114eb219 (このIDを非表示/違反報告)
South(プロフ) - 東堂莉愛さん» コメントありがとうございます!これからもドキドキしていただけるような展開を思考しますので応援をよろしくお願いします! (2016年9月5日 1時) (レス) id: d0e44075d9 (このIDを非表示/違反報告)
東堂莉愛(プロフ) - え、まじすか。めっちゃドキドキします。 (2016年9月4日 20時) (レス) id: 28f8595726 (このIDを非表示/違反報告)
South(プロフ) - なりさん» コメントありがとうございます!ですよね!瀬見さんかっこいいですよね!私も自分で書いてて惚れそうになりましたwこれからもご期待に応えられるように頑張ります! (2016年3月29日 23時) (レス) id: d0e44075d9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かまぼこ兔 | 作成日時:2015年12月25日 21時

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