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「あ、そうそう。今日く……バーテンさんの弟さんに会ってきましたよ!」
「へぇ、くーちゃん兄だったんだな。篠原さん、その弟さんの名前は?」
「偶然出逢ったときに兄と呼ばれただけです。血が繋がってないので聞いても無駄ですよ」
「京也くんです! 血の繋がりはないそうですが、バーテンさんと京也くん、本当にそっくりなんですよ?」
「へぇ! この顔が他にもあるのか?」
ちょっと変な言い方になってしまった。
「ビックリですよね。この世にひとつだけしかありません! みたいな綺麗な顔してるのに、それが二つもあるなんて。バーテンさんをそのまま小さくしました! みたいな感じなんですよ! でも目許と雰囲気が結構違いますから、間違えはしないんですけどね。マスクしたら完璧に別人です」
「篠原さん」
「なんでですか褒めたじゃないですか痛い痛い痛い痛い!!」
「バーテンさんの照れ隠しが酷過ぎる」
「ア僕分かりましたバーテンさんの言う魔法使いって三十超えても童貞のアレですね理解した痛い痛い痛い痛い痛い!!」
「給料下げますよ」
「すみませんでした!!」
めっちゃ不敬。ワァワァ泣きながら篠原さんはスタッフルームに消えていった。
「……バーテンさん」
「…………なんですか」
「多分いい人見つかるよきっと! 一生魔法使いってこともないだろうから落ち込むなって、バーテンさん顔いいし!」
スモークサーモンは没収された。
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作者名:深海 | 作成日時:2022年9月24日 21時