＊ ページ19
「翔太……！！」
無我夢中で、校内を走る。
いなくなった翔太と、彼の机に残されていた1枚の手紙。その内容は――…
【天宮翔太は預かった。
無事に解放してほしいのなら、お前ひとりで校舎外れの倉庫に来い。
こない場合、天宮の無事とお前の過去は保証しない。】
これだけだ。たった3行。されど3行。私を動かすのには十分だった。
…それにしても意外だ。過去の付き合いがここになってまた復活するとは。
そんなことは脳の片隅に追いやり、ただただ巻き込んでしまった彼の事を思う。
「無事で…いてよ…！！」
「はぁ…はぁ…外れの倉庫……ここだ。」
学校内のはずれにある、古めかしい倉庫。
老朽化が進んでもう何も荷物が入っていないそこはそういう輩の絶好の隠れ家になっていた。
その為、普段は鍵がかかっているのだがなぜか今は開いている。
「つまり、これは……蹴り開けてもいいってことだよねぇ！！」
渾身の力を込めて扉を蹴っ飛ばせば、勢いよく音を立てて開いた。
よかった…まだ力はなまっていないみたいだ。そのことに安堵しながら倉庫内に視線を移す。
そこにいたのはかつて倒したはずの相手と、縛られている彼の姿だった。
「あら、お久しぶりですね。」
「逃げずに来たみてーだな。」
「もちろん…私の大切な人に手を出した罪は重いわよ…？」
そいつと事があったのは確か、中学3年とかのはずだ。
私が最後に喧嘩した相手、それがアイツ。我ながらよくケンカしていたと思う。
男子相手に、中学生なら体格や力的に差が出始める頃だというのに。
「おーっと、動くなよ。動いたら…こいつに傷がつくぞ。」
「なっ…卑怯者！」
「何だっていいんだよ！女子に負けた、俺のプライドを取り戻すためにはなぁ！！」
翔太にナイフを向ける彼に、手を出すことができない。
彼に傷がついたら……好きな人にケガさせられない。
どうしたものか……動けずに立ち止まっていれば、彼がニヤニヤしながらこちらに来る。
「さて…どうしてやろうか。」
「…離して。」
「まずは、そんな口きけないようにしてやんねぇと…………………いてぇ！？」
突然様子が変わった彼に、逸らしていた視線を戻せばナイフを持っていた手が
ねじりあげられていた……縛られていたはずの、翔太の手によって。
彼はいつの間にか拘束を解いていた。心なしか笑みを浮かべているのは
気のせいと思いたい。すごいいい笑顔なのは見なかったことにしたいが。
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かのこゆり - 今回もとても素敵でした…。設定もストーリーもよく考えられていて、尊敬します！同じ「スクール・ラブ」でも全然違って、読んでいて本当に楽しかったです。作者のみなさん、お疲れさまでした。最高の作品をありがとうございました！ (2019年1月26日 17時) (
レス) id: 1f2cd0f1d2 (このIDを非表示/違反報告)
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