地味子と鰯

クリスマスデート ページ32

「こまったなー」

ぼやきながら、今日もゲーム三昧だ。


私は、ジャージに、家用の薄型レンズの眼鏡を着用した姿で

コタツにもぐって冬休みを満喫しはじめていた。


《ミナ、クリスマスにデートしましょう》


キュヒョン君からのメールだった。

いいよ、先輩は毎日、暇人(廃人)ですから。

…ちょっとやけくそになっていることも、自分自身なんとなく分かっていた。


　 ＊＊＊＊


「さっむ…」

「手、つなぐ？」

今はミナだから、キュヒョン君は敬語をつかわないらしい。

「え、いらないよ」

そう言ったのに、問答無用というふうにつないで、

コートのポケットにその手を入れられてしまった。


「そういえばこの前、俺のクラスメイトがミナの姉さん、先輩をリンチしようとしてたっけ」

「ああ、一緒に帰ったくらいでそんなの面倒だって言ってた(笑)」


他人事のように自分の話をするけど、

私は人と手をつなぐという経験がほとんどないために、内心それどころではなかった。


「俺のせいなんだ。A先輩の妹と付き合ってるからって振ったらああなった」


こいつ、本当に言い訳に使いやがったな。

そのくせに助けたとか、偉そうに言ったのを思いだす。


「だから、クリスマスデートで清算ってことで^^」


ひきこもって漫画を読んだりゲームをしているより

ずっと人間らしくてマシな過ごし方であることは、確かだ。

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