ふくだくん ページ6
隣のクラスの福田くんは、めっちゃうるさい。
うちの高校はうさぎを飼ってて、うさぎ当番が存在する。
クラスの担当で決まったことで休んでたらうさぎ当番にされていたわたしは隣のクラスの福田くんとペアになった。
その後当番変わって!!ってクラスの女の子に言い寄られたけどタイミング良く先生が来てうやむやになってしまった。
「みょうじさん!当番行こー!」
「あ、うん」
朝と放課後に餌やりと掃除をするのが決まってて、放課後になると福田くんが呼びに来る。
「元気〜?いっぱい食べてるね!えらいえらい!」
「ふふ、」
何笑ってんの〜って言いながらうさぎを大事に抱き上げてケージに入れる。
「福田くんうさぎ当番好きだなあと思って」
「え?好きだよ!楽しいし!」
にこにこ笑って藁でいっぱいの小屋を掃除し始める。
ごはんを変えてあげて、新しい藁を下に敷き詰めたらうさぎ当番は終わり。
慣れてきて十数分で終わらせられるようになった。
「よしー終わったー!」
「お疲れ様福田くん、」
「お疲れー!」
うさぎをケージから出してあげて、小屋の扉を閉めたら福田くんとの時間はおしまい。
「じゃあ、わたし手洗って帰るね」
「あ!俺も!」
近くの水道場で手を洗ったら、福田くんはぱたぱたと手を乾かしてる。
「はい、ハンカチ使う?」
「いーの!?ごめんね、ありがと!」
ハンカチを使ったら、じーっと見つめてくる。
「これ洗って返す!」
「えっいいよハンカチくらい」
「だってこれくらいしか話せないんだもん!」
えっ?って言いながらきょとんとすると、福田くんは言っちゃった、って顔してわたしにハンカチの代わりに少しくしゃくしゃになったメモを渡して走ってった。
「とにかく!また明日ね!!」
「えっちょ、速っ、」
すっかり小さくなった福田くんを呆然と見つめて、手のひらに残ったメモを開いたらそこにはたどたどしい文字で連絡先とメッセージ待ってますの一言
なんだかハンカチの代わりにすごくいいものが手の中にある気がする。
「…家帰ったら、連絡しよっと」
彼の恋心に気づくのはまだ先。
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作者名:逢琉 | 作成日時:2018年2月5日 14時