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夜の静寂が辺りを呑む時。
私の部屋にはアルバート様と養子2人が集まっていた。
「…作戦は今話した通り。ミラーナにも付いて来て欲しいんだ」
差し出された手を見て、私はハァと息を吐いた。
やれやれ、就寝前の読書を楽しんでたってのにアンタ達はそんな悪巧みをしてたのね！
ま、中身はそんな子供のイタズラみたいなものじゃないけど。
私達を除いた12人が寝静まった頃、蝋燭を使ったトリックで屋敷ごと焼き、結果それは、掃除を怠ったメイドの不手際が招いた大火事として終わる。
そして私達は、焼け出された哀れな子供として保護される。だっけ？
『愚問ね。私は死ぬまで
重ねれば握り返された手。
あまり力にはなれないけれど、出来る限りサポートするわ。
気合い入れの為にルージュをつけましょ。
毒々しい色だけど、これから起こる事故にはピッタリね！
…あぁ、いいこと思いついたわ！
持ったルージュをそのまま鏡へ押し付け、走らせる。
うん、いい出来。警告色に彩られた文字の意味を理解できないまま、あの人たちは灰になるのよ。
「___さぁ、反撃開始だ」
目には目を歯には歯を。権力には権力を。
そして、罪には罰を。
「ご依頼により、あなた方に罰を下します」
「お前達の様な人間はこの世界にいらない」
冷血に言い放たれた刹那、今夜の主役2人は暗夜の礫に襲われた。
「出よう、ミラーナ」
『…ええ』
揺蕩う炎の海の向こうから大人達の声。
「ドクター早く！」
「君達は…」
業火を背に、青年は爽やかに名乗ってみせた。
モリアーティ伯爵家長子、アルバート。
その弟、ウィリアムとルイス。
そして。
『使用人のミラーナ・モルガンです』
____13年後。1879年、ダラム市。
『ん…』
「おはようミラーナ。夕食の時間だよ」
鉛みたいな瞼を強制的に開けば、ウィリアムが映った。のは良いけれど、距離近くない？キス出来そうだわ…いやまさか。
「未遂だよ」
『しようとしてたんじゃない！』
いい笑顔で言わないで！
「そういえばミラーナ、
話を逸らしたわね。いいわ、乗ってあげる。ちょうどその懐かしい夢を見ていたしね。
『Beginning Glow』
始まりの光彩。
それが私達の門出の言葉よ。
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作者名：シェリム | 作成日時：2018年12月24日 20時
