海辺のレストラン ページ43
Aside
海人くんに、過去のことを聞かれた
私が気になるような言い方をしたせいだと思う
それに、名前呼びの時にも私の様子は相当おかしかっただろうし、気になるのも無理ない
それでも、まだ明るくできる笑い話にまで昇華できてないことだから、海に行くまでの今、話すべきではないと思った
それに、私のこの暗い過去を、今でも引きずっていることを、海人くんに話して、嫌われないだろうか
関わり方が変わってしまわないだろうか
私は普通じゃない。それを隠すように今まで海人くんに接してきたつもりだけど、この話をしたらそれがバレてしまう
嫌われるのが怖い
傷つくのが怖い
そんなことを悶々と考えていると、海人くんに海だよって言われた
ぐるぐると暗い感情が心で渦巻いてたから、綺麗な海を見て、ちょっと救われた
＿＿＿＿＿
レストランに着いたようで、車から降りる
久しぶりの外で気持ちがいい
海人「んん〜！きもちーね！」
海人くんが伸びをしている
「そうですね〜！運転、お疲れ様でした！ありがとうございます」
海人「いいえっ！じゃあ、ご飯食べよっか！」
海が見えるおしゃれなレストラン
時々海を眺め、向かい合って食事をする
異性と向き合って食事をするのは初めてだから最初は緊張したけど、料理がとっても美味しくて、そんなのどこかに行ってしまった
「ごちそうさまでした…！おいしかったぁ！すごく！」
海人「ね！すっごく美味しそうに食べてて、かわいかったよ」
なんて、目を細めて言う海人くん
「なっ…！ちょっと、お手洗いに行ってきます！」
また照れた顔を見せるのは恥ずかしかったから、逃げるようにトイレに行く
その場から離れた時点で負けだとは思うが…
しかし海人くんは毎度毎度どんな感情でああいうことを言っているのだろうか
用を足して、手を洗い鏡でビジュをチェック
前髪を整えて、メイクも少し直してから席に戻る
席に戻ると海人くんは頬杖をついて海の方を見ている
私も海を見て、「綺麗ですね」と声をかける
海人くんはちらっと一瞬こちらを向いて「おっ、おかえり」と言ってまたすぐ目線を海に向ける
2人で少しの間無言で海を見ていた
キラキラ太陽が反射していて、波も穏やかで、見ていて心が落ち着く
この時間がずっと続けばいいのになんて思っていると、海人くんが口を開いて、ゆっくり話し始めた
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作者名：ぺとり | 作成日時：2024年3月26日 22時
