隣りの席の天邪鬼

41 ページ45

『あ！あの、要らなかったら、全然いいの！そしたら部屋に飾るし！』

渡｢いる。欲しい。ちょーだい。｣

『え？あ、うん！どうぞ！』

渡｢...サンキュ。お前コレ何処に付けんの？｣

『え？んー、カバンとか？』

渡｢...なら俺も。明日からコレ、お揃いな。｣

『！うん！』

渡｢ふはっ、お前顔ニヤケてんぞww｣

『えっ？！そ、そう？翔太くんが貰ってくれて嬉しいからかな...ふふっww』

渡｢...はぁ。お前ホントそういうとこ...｣

『え？何？』

渡｢...いや、何でもねぇわ。｣

『？』

渡｢じゃ、俺帰るわ。また明日な。｣

『あ、うん！今日は本当にありがとう。気を付けて帰ってね！』


翔太くんは、こっちを見ずに手をヒラヒラさせて帰って行った。




今日は本当に楽しかったな。
何だかんだ最後まで手は繋ぎっぱなしだったし...


最初だけドキドキしてたけど、最後の方は慣れたのかそれが当たり前みたいに思ってしまっていた。


翔太くんは全然顔色を変えず普通にしてたから、きっと子守り程度にしか思って無かったんだと思う。


それはそれで、何か少し寂しいけど...


でもお揃いのストラップを眺めていると、今日の出来事が鮮明に思い出されて幸せな気持ちになった。








次の日。教室に入り悠羽や深澤くんやさっくんと話してると翔太くんがやって来た。


渡｢はよ。｣

｢｢｢おはよー。｣｣｣


すると深澤くんが


深｢あれ？なべとAちゃんのコレ...まさかお揃い？！｣

悠｢えっ？！どれ？！｣

佐｢うわ！本当だ！なんだよ、お前ら、仲良しか！｣



お揃いのストラップに気付いてヤイヤイ言ってきた。



渡｢...仲良しだよ。悪いか。｣

『！？』



あちこちから飛んでくる野次に、翔太くんがダルそうに答える。
すると益々大きくなる声...




深｢え！？え？！何？！どういう事？！｣

佐｢まさか...2人付き合って...｣

悠｢ちょっとA！私聞いてないよ！？｣



もはや収集がつかなくなっていた...



渡｢...はぁ。別に付き合ってねぇ。んで、お前らうるさい。｣



再度、翔太くんがダルそうに3人に言った。


それ以降は何か言ってくる事は無かったけど、悠羽にだけこっそり昨日のデートの事を話した。



もちろん全部じゃない。
言っても大丈夫そうな事しか言ってない。



悠羽はビックリしてたけど、｢なべと仲良くなれて良かったね｣って言ってくれた。


私もそれは思う。
それから、夏休みで気付いた。







翔太くんは結構優しい。

.

42→←40

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す