あの子が知らない君のカオ

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それは突然起こった...





さ｢ダブルデートしよう！｣

『...は？』





お昼、さやかと一緒にお弁当を食べていたら急にこんな事を言い出した。




『え、ダブルデート？誰と？』

さ｢私とAと康二くんと亮平♪｣

『は？何で私？てか康二くんて誰？』

さ｢だって私の親友だし。康二くんは部活の後輩で私の好きな人♡｣

『...は？！』





待て待て待て！

百歩譲ってダブルデートに行くのはもうどうでもいい。


問題なのは、さやかに好きな人がいるという事。

しかもそれが阿部くんではなく別の人だという事。

え、これ阿部くんにしてみたら拷問じゃない？

何が悲しくて自分の好きな人の恋してる姿を間近で見なきゃならんのだ。

しかも大して仲良くもない、むしろ多分嫌いな部類であろう私と一緒に...




『さやか、好きな人いたんだ...』

さ｢最近気になるの。凄く良い子でイケメンなの！普段は可愛くてワンコみたいな子なんだけどね(笑)｣

『...なるほど』

さ｢でさ、いきなり2人は緊張しちゃうから、とりあえずダブルデートで遊びたいなって♪｣

『ちなみに、その、康二くん？と阿部くんにはもう言ってあるの？』

さ｢康二くんには言ってあるよ！OK貰えた♪亮平にはこれから言う。まずはAに聞こうと思って。｣

『まーじか。』

さ｢ね？お願い！今回だけでいいの！Aの時も協力するからさぁ。お願い！｣




まぁ、ダブルデート自体はもう行っても良いんだけど...

私が心配してんのは阿部くんのメンタル...




『あのさ、相手って阿部くんじゃないとダメなの？』

さ｢え？｣

『別に、阿部くんじゃなくてもいいんじゃない？』

さ｢え、もしかしてA好きな人いるの？！｣

『いやいや、何でそうなる。別に好きな人はいないけど、阿部くんである必要もなくないか？って事。』

さ｢まぁ、それはそうなんだけど、この前の勉強会で2人仲良くなったっぽいし、Aと亮平がいたら私も安心するって言うか...｣

『...まぁ、それならそれでいいけどさ。じゃあ、とりあえず先に阿部くんに聞いてみて？それで阿部くんがOKだったら、私も行くよ。』

さ｢ホント？！分かった！じゃあ亮平に聞いてみるね！｣




はぁ...

大丈夫かな、阿部くん。

というか、私ら仲良くなれてないんだけど...



さやかの恋は応援したいし協力したい、し、阿部くんにもそう言ってるけど、阿部くんの気持ちを知ってると複雑...


阿部くん断ってくれないかな。

絶対ツラいぞ...

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