あの子が知らない君のカオ

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『阿部くんにしたら低い点数かもしれないけど、私こんなに高い点数採ったの初めてだったから凄い嬉しくて♪やっぱり阿部くんに教えて貰えて良かった！』

阿｢っ！｣

『勉強会の最終日にお礼は伝えたんだけど、この点数見たらまた言いたくなっちゃって(笑)改めて、2週間勉強教えてくれてありがとう！次のテストでもこの点数維持出来るように頑張るから！』

阿｢...まぁ、あの時間が無駄にならなくて良かったよ。せいぜい成績落ちないように頑張れば。｣

『ふふっ、うん、頑張る！それじゃ、本当にありがとう！あ、阿部くんも"恋"頑張って(笑)じゃあね！』




ちゃんと言えて良かった。


結局仲良くなる事は出来なかったけど、苦手科目の勉強の仕方とか理数科目のコツとか教えて貰えたし、何だかんだ優しいとこあったな、なんて少し思い出してニヤけた。


これからちゃんと勉強していけば、きっと今後のテストも今回くらいの点数が採れるはず！


せっかくのあの2週間を無駄にしないように頑張ろうと密かに誓った。











阿部side





数週間前に知り合った女の子。

幼なじみの親友だというその子のテスト勉強を見る事になったのは、俺が小さい時から片思いしてるその幼なじみの頼みだったから。


勉強会で俺の本性を知っても特に気にせず、幼なじみに片思いしてる事に気付いても変に協力したりせず、陰ながら応援すると言ったその子。



変な奴だと思った。



勉強会の最終日、お礼を言ったその子に、まだ俺は冷たい態度をとる。



でもまぁ、ちゃんと勉強した事を知っているし、最後くらいは、と頑張れの意味も込めて、"大丈夫"と言ったら物凄く喜んだ。


まさかそんなに喜ぶとは思ってなくて、思わずまた意地悪を言った。


でもその反応が何だか面白くて、つい素で笑ってしまった。


ちょっとだけプリプリ怒りながら帰っていくその子の背中を見ながら、頑張れと思ったのは内緒。






テストの返却も済んだ頃、俺の教室にあの子が来た。


名前を呼ばれると、一緒にいた佐久間と深澤に冷やかされる。


そんなんじゃないと一蹴してその子の所へ向かった。


何の用かと思ったら、テストの点が過去一だったから改めてお礼を言いに来たらしい。


別にそんなのいらないのに、と思ったけど満面の笑顔で『阿部くんに教えて貰って良かった！』と言われ、不覚にもドキッとしてしまった。









今となってはもう分からないけど、きっとこの時から俺は、君に惹かれてたのかも...

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