[LEO]不器用な幸せ ページ3
*
「テグナ、テグナ〜」
「…ちょっと待て」
「…」
リビングの低いテーブルの上には本が2、3冊置いてあり、ソファに腰掛けているテグンがその内の一冊を読んでいる。
私はといえば、なかなか構ってもらえずにいたけれど、我慢できずに彼のすぐ横に座った。
勢いでソファが二人の体を上下に弾ませた。
「…やっぱりAの好きそうな感じの話だな」
「だって私のだし…って今読まなくてもいいじゃない!まさか彼女がいるのにまだ読み続ける気じゃ…」
「…………わかった構ってやる」
そう呟いて彼は本を置いた。
今の間はおかしい、読もうとしてた、絶対読もうとしてた!
しかも『構ってやる』って何よ!
心の中でそう叫びながらため息をつく。
「…怒るよ?」
「ごめん」
「…はぁ」
「?」
そしてため息をもう一つ。
怒れない…
この人にとことん甘いのは分かっているのだが、知れば知るほどテグンは可愛い。
初めましての人はだいたいあの無表情に怖がるもの…でもとにかく可愛い。
「…A、なんか疲れてる」
「まぁね」
貴方のせいで。
「おいで」
「…ん」
長い腕がこっちに伸びてくる。
私は抱き寄せられて、テグンの膝の上にすっぽりと収まった。
後ろから前に回された手は、離れないようにがっちりと組まれている。
「…ため息つくと幸せが逃げるぞ」
「今幸せだからいいの」
「…A」
「ふふっ、やだ、くすぐったい」
耳に息がかかってこそばゆい。
でもテグンの身体はあったかくて、心地が良くて、眠ってしまいそうだった。
「テグナ、起きてる?」
「…起きてる」
「ねぇ、このまま少し眠ってもいい?」
「…あぁ」
彼は少しだけ口角を上げて、髪の毛に触れ、子供を褒めるように私の頭をくしゃくしゃにした。
…もうすぐでホントに寝ちゃいそう。
「…A?」
「…」
「寝たのか」
「…」
テグンが顔を覗き込む。もちろん私は目を開けない。
「まだ、起きるなよ」
そんなことを囁いて、彼は私の頬に唇を触れさせた。
いつも素っ気なくて、どこか少し私に対して不器用でも、お互いに愛は伝わってる。
キスなんて、たくさんするわけじゃない。でも満足。
その時、目をつぶりながら嬉しくてにやけてしまったのはまだ内緒。
_end.
79人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
海漓(プロフ) - ハニ☆さん» 嬉しい言葉、ありがたいです(^○^)リクエストもありがとうございます、良いものにできるよう頑張りますね! (2015年4月5日 18時) (レス) id: 4f2ce2f638 (このIDを非表示/違反報告)
ハニ☆ - はじめまして!いつも楽しく読ませていただいています^^ うぉんしくより93よりおるペン(←ややこしいですねw)なので、今回のキャンディはすごく嬉しかったです! リクエストですが、うぉんしくとのデートの話を書いていただきたいです^^ これからも頑張ってください! (2015年4月5日 17時) (レス) id: f6893e5e5d (このIDを非表示/違反報告)
海漓(プロフ) - こころさん» 了解しました!出来る限り頑張ります(^-^)/ (2015年4月5日 2時) (レス) id: 4f2ce2f638 (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - 海漓さん» はい!そんな感じで!お願いします! (2015年4月5日 1時) (レス) id: 1cf250b8c9 (このIDを非表示/違反報告)
海漓(プロフ) - こころさん» ありがとうございます(;Д;)えぇと、別れた彼女が忘れられない…的な感じでしょうか← (2015年4月5日 1時) (レス) id: 4f2ce2f638 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:海漓 | 作成日時:2015年3月22日 1時