天気雨;02 ページ40
―――
古来より雷雲に住み、落雷を起こす伝説の獣。
落雷の電圧は1億Ｖにも及ぶ。まともにくらえばひとたまりもない。
「エース、お前に頼みがある」
「なんだよ、改まって」
急にマルコに呼び出されて何事かと思った。
「Aのことはもう聞いたか？」
「あぁ、やっぱり能力者だったんだな」
「あぁ。自分でどうにかこうにか調べて俺と同じ動物系幻獣種モデル”雷獣”だってことはわかったんだが……」
何せ自然系よりもさらに貴重な動物系幻獣種。情報が少なすぎる。
「そこでだ、エース。お前があいつのこと鍛えてやってくれねぇかよい」
「……は？俺？…マルコ、お前じゃなくて？」
適任はマルコじゃないのか。同じ動物系幻獣種の能力者だ。分かり合えることもあるだろう。
「………正直、俺の勝手な我儘だよい。俺が鍛えたら、俺が怪我させてそれを俺が治してやらなきゃならねぇ」
一応、この船の船医だからなとマルコは言葉を続ける。
「分かった。俺が鍛えたらいいんだな」
「頼むよい」
「ただし、」
エースはニヤリと笑う。
「加減はしねぇぞ？」
「まぁ、お手柔らかに頼むよい」
基礎的な体術はサッチが教えているが能力の使い方は能力者同士の方が教えやすい。
「もう、終わりか？」
「まだっ、やるよ……！」
右手にはビリビリと稲光が音を立ててまとわりついている。
エースが指でくいくいと来いと誘う。
Aが一気に右足で踏み込む。
Aの左手の鋭い爪の攻撃を軽くかわす。
『どうやら雷撃の攻撃と爪の攻撃は同時には出来ねぇみてぇだな』
どちらかしか出来ない制限があるようだ。
飛んでくるエースの拳を右手で流す。
「…へぇ、面白ぇな。自然系みてぇに流すんだな」
「……いっ、」
「出来るんなら流せ！受け止めようとすんな！」
「そこまでにしてやれよい」
しばらく眺めていたマルコが口を開く。
「……んじゃ、ちょっと休憩な」
「…ん、」
肩で息をしているAを手招きしてマルコは座らせる。
「………エースは、つよいなぁ…」
へにゃりとAが笑う。
「安心しろよい。お前ももうちっとで強くなれるよい」
マルコはそう言って、かすり傷が目立つ手に絆創膏を貼っていった。
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玉うさぎ(プロフ) - なまらさん» コメントありがとうございます！夢主の能力が使われるのはもう少し先になりそうです……(´TωT｀)気長に待っていただけると作者は嬉しいです (2021年11月22日 11時) (
レス) id: 2678198c2d (このIDを非表示/違反報告)
なまら - 更新されてるか見るのが毎日の楽しみです！！夢主ちゃんの能力使われるのが楽しみです！更新頑張ってください！！ (2021年11月21日 4時) (レス) id: 26945b0253 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉うさぎ | 作成日時：2021年10月3日 12時
