夕立;23 ページ35
『なんで俺、こんなに怒ってんだっけ』
エースはあのナースを追いかけながらそう思う。
――――殴られて酷い目あったってのに笑って許してしまうAに？
――――何が理由か知らねェけど子供相手に血が出るぐらいの強さで殴ったあいつに？
―――違ぇ、守れなかった自分にだ。
エースが足音鳴らして廊下を走り、あのナースを呼び止める。
「なァ、お前だろ？A殴って怪我させたの」
「…何かしら、エース隊長。藪から棒に」
「……とぼけんなよ」
エースの睨むような目にナースの眉が跳ね上がる。
「Aが殴られた時にお前の声を聞いたって言ってんだよ。……Aが嘘をつくはずがねぇ」
「……声って……そんなの信用ならないじゃない。もっとちゃんと証拠もないのに言いがかりはやめてちょうだい」
「――――証拠ならあるよい」
ピリピリとした空気感を破ったのはマルコだった。
「…マルコ」
「ったく、お前は考え無しに突っ走りやがって…」
「………悪かったって……つい、必死だったんだよ」
マルコの呆れ返るような声にエースも目をそらす。
「それで？証拠って何かしら？」
ナースの言葉にマルコは手に持っていたものをかかげてみせる。
「これがAを殴った凶器だよい」
マルコの手にあるのは整備班が使うような工具だった。よく見ると赤黒い何かがこびりついている。
「………っ、何よそれ」
「……その顔を見るに、心当たりがあるんだろ」
「…っ知らないわよ…！そんなのあたし知らないわ！」
ナースに動揺の色が見える。
「ちなみにこれは船のゴミの中に混ざってたんだよい。……うちの整備班に聞いたら、Aが襲われたその日からこの工具の行方が分からなくなってた」
「……そんなの、あたしだなんて限らないじゃない！整備班がうっかり無くしたのかもしれないでしょ！！」
「…まァ確かにそうだねぃ。…けどなら、どうしてあの日、お前まで姿を消してた？」
「………どういうことよ…」
すると奥からイゾウが歩いてきた。
「お前さんは、あの日姿が消えてた時間があったんだよ。いつも勤務時間にどっか勝手に行っちまうなんて有り得ねぇお前が、だ」
「そんな、証拠どこにあるの！？」
「―――証人ならいるぞ？今、呼んできてやろうか？その必要ねぇことぐらいお前が1番分かってんじゃねぇのか。なァ？」
イゾウがナースをキツく睨んだ。
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玉うさぎ(プロフ) - なまらさん» コメントありがとうございます！夢主の能力が使われるのはもう少し先になりそうです……(´TωT｀)気長に待っていただけると作者は嬉しいです (2021年11月22日 11時) (
レス) id: 2678198c2d (このIDを非表示/違反報告)
なまら - 更新されてるか見るのが毎日の楽しみです！！夢主ちゃんの能力使われるのが楽しみです！更新頑張ってください！！ (2021年11月21日 4時) (レス) id: 26945b0253 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉うさぎ | 作成日時：2021年10月3日 12時
