夕立;04 ページ16
じっとついついAを見てしまう。
あの時Aの身体を見て動揺しなかった自分を褒めたい。
『まぁたしかにどっちにも見える。男にも女にも見えんな』
夕暮れどきの風に揺れる髪はきらきらした白銀。長いまつ毛に縁取られた青みを帯びた銀の瞳。14歳には見えないぐらい小柄な身体。
「…エース、」
「…あ、どうした？」
「………ちょっと、疲れちゃった」
へにゃりとAが困ったように笑った。
『いいか、エース。Aのことあんまり無理させるんじゃねぇからな。まだ病み上がりだからよい』
マルコに言われていたのを思い出す。
いろいろ買い物に連れ出して疲れてしまったのだろう。エースは近くのベンチに一緒に座る。
「なぁ、Aの母親ってどんな奴？」
何聞いてんだと口にして思ったがもう後の祭りだ。
これじゃあトラウマを余計酷くさせるだけだろ。
「うーんとね、すごく真面目なひと。厳しいけどちゃんと僕のこと考えてるひと」
「……………そっか」
――――多分、そういう認識なんだろう。あれは自分のためを思ってやってくれたことだと。だとしても、あんなふうに殴るのは違うと思う。
「……あっ！かあさまのね、写真あるよ！」
そう言ってAはズボンのポケットをガサゴソする。ポケットの中に入っていたのは小さなチャームだ。
金属製のチャームの蓋を開くと小さな写真が入っていた。
写真に写っている女性がAの母親なのだろう。鋭利な切れ長の瞳が特徴的だ。
「なんかあれだな、Aは父親似なのかもな。こんな目してねェし」
「…僕も、そう思う。でも、父様とも違うっていうか」
そこまで言ってAは言葉を濁した。
「Aはさ、まだ母親が好きか？」
「好きだよ。殴られても好き」
Aはベンチから降りるとそう言った。
「でも、今はちょっと違うよ。今1番好きなのはマルコとエースとサッチと
ニコッとAは笑う。
「――――――そうか」
そこまで言ってエースは視界にマルコとエースを捉えたので声をかけた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 94人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
玉うさぎ(プロフ) - なまらさん» コメントありがとうございます！夢主の能力が使われるのはもう少し先になりそうです……(´TωT｀)気長に待っていただけると作者は嬉しいです (2021年11月22日 11時) (
レス) id: 2678198c2d (このIDを非表示/違反報告)
なまら - 更新されてるか見るのが毎日の楽しみです！！夢主ちゃんの能力使われるのが楽しみです！更新頑張ってください！！ (2021年11月21日 4時) (レス) id: 26945b0253 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：玉うさぎ | 作成日時：2021年10月3日 12時
