初音;05 ページ6
モビーにAを運ぶとマルコはひとまず医務室に連れていく。
「親父に説明する前にその怪我どうにかしねぇと」
マルコが救急箱をあさる。
「エース、悪いんだがよい。Aの服脱がせてくれねぇか」
「おう、分かった」
エースはベッドに腰掛けたAのシャツを脱がせる。
「っ、お前、」
エースは絶句する。服の下にあったのは白い肌に散らばる無数の痣。
『コイツ、日常的に、虐待されて』
「おい、お前っ、この背中っ」
背中にはいまだに癒えぬ火傷。
マルコもそれを見て言葉を失う。
「……A、これも母親にやられたのかよい」
「……うん」
「おい、マルコこれ一体何で」
「………火かき棒だよい」
暖炉の灰をかき出すための金属の棒。暖炉の熱で熱せられた棒はいわば焼印と同じだ。
『急がねぇと感染症を引き起こしちまう』
マルコは棚から軟膏を取り出し、包帯を用意する。
「…ちっと我慢しろよい」
マルコが指でAの火傷に触れる。
「……いっ、ああぁっ！！、やめ、やだ……！いた、い！」
Aが叫ぶ。暴れるのでエースが向かい合うようにして押さえる。
「A、暴れんな！」
「……やだっ！……なんで、嫌なこと、しないって…言った、のに」
ぽろりとAの目から大粒の涙が流れる。
「…ごめんな。でもよ、その怪我そのままにして痛てぇ思いするのはAなんだよ。マルコの気持ちも分かってやってくれねぇか？」
エースは両手でAの顔を優しく包む。
「なるべく痛くしねぇようにするからよい。エース、一応押さえててくれよい」
マルコは引き続きAの火傷に軟膏を塗っていく。
「っ、ぐっあ、…いっ、や」
「頑張れ、A。…叫んでもいいからな」
「……いた、いっ……！マルコっ……エースっ、」
「大丈夫だ、俺もマルコもここにいるからな」
エースはAの頭を撫でる。
マルコは軟膏を塗った傷に優しく包帯を巻いた。
「…よし、終わりだよい。…A？」
マルコがAの顔を覗き込む。
「…疲れて寝ちまったな」
「だねぃ」
「頑張ったよ、Aは」
エースはAの身体をベッドに寝かせる。マルコはその合間に他の傷も治療していく。
「なぁ、マルコ、この傷残っちまうのか」
「成長すれば痣なんかは薄くなるかもしれねぇけど、……背中の火傷は消えちゃくれねぇよい。…他の傷もきちんと手当てしてればこんなに痣になってねぇ」
そう言ってマルコはAの唇に絆創膏を貼った。
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玉うさぎ(プロフ) - なまらさん» コメントありがとうございます！夢主の能力が使われるのはもう少し先になりそうです……(´TωT｀)気長に待っていただけると作者は嬉しいです (2021年11月22日 11時) (
レス) id: 2678198c2d (このIDを非表示/違反報告)
なまら - 更新されてるか見るのが毎日の楽しみです！！夢主ちゃんの能力使われるのが楽しみです！更新頑張ってください！！ (2021年11月21日 4時) (レス) id: 26945b0253 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉うさぎ | 作成日時：2021年10月3日 12時
