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―――無表情だった顔が、子供のような顔に変わる。
まるで暗い夜道をどこに行けばいいか分からなくなってしまった子供のような顔になる。
「…ごめん、バルボッサには僕から、…謝るから」
「……そんなことはいい。レオ、怪我は？大丈夫か？すまん、こいつらのロープの縛りが甘かったんだろ？だから」
――頼むから、逃げられて襲われそうになったんだって言ってくれ。
「違うよ」
「僕が、自分から殺したんだ。こいつらはちゃんと縛られてた」
レオは持っていたナイフを手から離す。
カランと音を立ててナイフが血溜まりに落ちる。
レオが返り血を滴らせながら、歩いていく。
「っ、……！レオ！！」
レオがゆっくり振り返る。
アントーニオは自分の手が汚れるのも気にせず、そっとレオの頬を両手で挟む。
「……大丈夫か？…どうした？」
「……どうもしてないよ…。殺しちゃっただけ。僕が悪かっただけ」
「………だったら、なんでそんな泣きそうなんだ？」
レオの表情は変わらない。
「…大丈夫だよ。…ちゃんとする、から」
レオはアントーニオの両手をすり抜け、歩き出す。
「…レオ。船長のとこに行くんなら、着替えて、返り血もちゃんと落としてから行けよ？」
「…うん」
アントーニオが食堂に戻ると、ジュジュビエーヌがやっと帰ってきたと呆れた表情で待っていた。
いつの間にかトリックも来ている。
「ちょっと！遅いわよ！レオは？レオはどうしたの？」
「―――殺した」
「え？」
アントーニオは疲れた表情でカウンター席に座る。
「俺が行った時には、レオの奴、捕虜3人殺して、血溜まりの中に立ってた。今は、返り血を落としてる」
「殺したって、どういうことよ！？だって、レオがそんなこと、」
ジュジュビエーヌもさすがに驚いている。
「あいつ、余程気に入らねぇことでも言われたんだろうな」
トリックがぽつりと呟く。
「どういうことだ？」
「あいつが怒ってるところ、見たことあるか？怒るって言っても、本気では多分ねぇんじゃねぇか？だから、あいつがキャプテンの命令も相手の生死も考えられなくなるレベルに怒ることを言ったんだろうな、捕虜どもは」
「……泣きそうだった。子供みたいだったぞ、あいつ」
トリックは遠くを見るような目で口を開く。
「子供だよ、あいつは。過去に何があったか知らねぇが、イルミナが死んでからだろうな、あぁなったのは」
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作者名：玉うさぎ | 作成日時：2020年5月7日 21時
