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「卑怯？どこがさ？」
チップがレオのレイピアを指さす。
「だって！レオのそれの方が絶対おいらのカトラスより軽いじゃん！」
「そう？」
レオはレイピアを指でくいっと持ち上げながら、肩をすくめる。
「じゃぁ、交換してやってみようか？」
「そうしろよー！」
「オッケー」
レオはチップにレイピアを渡すと、カトラスを構える。
「さぁ、おいで、チップ」
「次こそ勝ってやる！うぉりゃああああああああぁぁぁ！」
レオはチップのレイピアをカトラスでしのぎ、はじき返す。
「ほらほらー、どうした？」
チップのレイピアをレオのカトラスがしのぎ、ついにはその手から叩き落とした。
「なんでだよー！全然、上手く剣が振るえないし！」
チップが唇を尖らせる。
「チップ」
レオがレイピアを指さす。
「レイピアの特徴はなんだい？」
「なんだよ、急に。…えっと、なんかこの細い刃とくるくるした柄？鍔？」
「そうだね、それがレイピアの特徴でもあり、欠点とも言える」
「この鍔は元々、剣を持つ手を保護する為のものだったんだ。だけど、貴族たちが使うように次第にこの部分は飾りとしての意味を持つようになった」
「だから、こんな形なのか。俺も初めて知ったわ」
ピーターもレオの説明に頷く。
「それにこの鍔の使い方はね、ピーター。普通に斬りかかってきてもらえる？」
ピーターは腰のカトラスを抜くと、レオに斬り込む。
レオのレイピアが弧を描き、鍔がピーターのカトラスの刃を絡める。
「こんな風に相手の剣をこの部分でへし折る為に使うんだ。チップ、使ってみて思ったろう？全然軽くないって」
チップが頷く。
「レイピアはどうしてもその鍔のおかげで重心が手首にいく。だから、手首の動きを気をつけないと全然剣が振るえない。カトラスよりも刀身も長いから、速さが必要だし、なんなら相手の剣に絡まれる。受け流して、的確に急所を突く。それがレイピアの使い方だ。どうだい？面倒だろ？」
チップはカトラスを握りしめる。
「おいらもさっきの技出来るようになる？」
「なるよ。あれは僕が自分より背の高い相手を倒すために考えたんだ」
「でもさぁ、レオは天才じゃん」
レオは首を振る。
「まさか、僕だってちゃんと剣を持ったのはチップと同じくらいの歳のときだよ。だから、大丈夫。君はきっと強くなる」
レオはまっすぐチップを見つめる。
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作者名：玉うさぎ | 作成日時：2020年5月7日 21時
