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最近、チップがレオの後ろをついて歩く姿をよく見る。
「ねぇ！レオ！」
チップがレオのジレを軽く引っ張る。
「カード教えて！」
「カード？」
小首を傾げてレオはチップを見る。
「なんでまた？君、そんなのに興味あったっけ？」
「だって、この前酒場でやってたじゃん！あれかっこいいから教えて！」
「まだお子ちゃまにはカードは早いんじゃない？」
「なんでだよー！」
「カードなんて酒が飲めるようになったらでいいの」
レオはたしなめるように手をヒラヒラさせて行ってしまった。
――――次の日。
「ねぇ！レオ！」
またレオを引っ張る。ただし、今度はバンダナである。しかも意外に強く引っ張るので後ろに転びそうになる。
「なんだい？」
「海図の見方、教えて！」
ちょうどレオの手には何枚もの海図がある。
「ちょっとチップには難しいんじゃないかな？計算とかすごい出てくるよ？」
困ったようにレオが微笑む。
「だって、『あの』ピーターは海図見れてたよ！」
今、あのって言ったぞ。
「ピーターだってけっこう苦労してたよ？」
「ピーターが出来たんなら、おいらも出来るよ！」
「でもなぁ、」
レオが肩をすくめた。
「買い出しに行ってお釣りを店主に少なく持たせられても分かんなかったチップに出来るのかい？言ったろ、計算とかすごい出てくるよって」
チップが唇を尖らせる。
ぐうの音も出ない。
またレオは手をヒラヒラさせて行ってしまった。
――――またその次の日。
レオが船長室から出てくると、チップが仁王立ちして待っていた。
「今度こそだからな！」
「〜を教えて！かい？」
ため息まじりにレオはチップの目線より下になるようにしゃがむ。
「なんだよ！また子供扱いか！？」
「教えてもらうなら、ピーターでもいいだろう？僕じゃなくてもすごい先輩はたくさんいるよ」
「おいら、カッコよくなりたい」
レオが目を見開く。
「ピーターもアントーニオもジュジュ姉さんもトリックもゴールドパイセンもみーんなおいらにとってはかっこいい先輩だよ。でも、おいら、もう嫌なんだ！ボロボロになったレオ見るの。この前みたいに庇われるのも嫌だ！」
「言ったろ？庇ったんじゃなi…」
「聞けよ！」
珍しくチップが叫ぶ。
「おいらだってレオを支えたい！かっこよくなってレオを支えられる男になる！」
レオは目を閉じる。
『まるで、昔の自分を見てるみたいだ』
『僕、イルミナみたいなかっこよくて優しい海賊になりたい！』
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作者名：玉うさぎ | 作成日時：2020年5月7日 21時
