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街に繰り出せば、レオとトリックはすぐさま女に囲まれる。
「あら、今日着いたんでしょ？いつまでいるの？」
街を歩いているとすぐにレオの腕に絡んで来る。
胸元の大きく開いたドレス。派手な口紅。きつすぎる香水。
見るからに娼館の女だと分かる。
「やぁ、お嬢さん。明日の夜まではいるよ」
「ねぇ、すぐそこに私たちの店があるの」
「やだなぁ、お断り。お嬢さんはとっても綺麗なんだけどね、また後で行くよ、1杯やったら、ね？」
軽く女をかわし、レオは腕を払う。
香水がきつすぎやしないか。まぁ、あのぐらいやらないと酷い臭いがしそうだが。
「いつもあんなか？」
「何が？」
「お前、街に出るといつも女に囲まれてんのか」
「ファビアンといい勝負ができるよ」
『多分、男なんだろうけど、どっちか正直微妙なところなんだよなぁ…』
トリックは内心呟く。
レオは不思議な容姿をしている。長いまつ毛がふちどる瞳は少女のようだが、首や肩は男にしては華奢だが、やはり女にしては広すぎる。声だって低くもないが、だからといって高くもない。
傷の手当てをしたから多分男だろうが。
本音はどっちともとれるのだ。男からしたら、女に見えるし、女にしたら男に見える。
「………ん？」
レオがしばらくどの店で飲むか思案して歩いていると急に立ち止まる。
「どうした？」
「いやあれ」
レオの指さした先の店の中にいるのは――――
「あれは、ラビットとガキんちょとダースプか…？」
こっそり2人で近づいて見てみれば、どうやら酒場にいた酔っ払い相手にカードをしているらしい。
「おいおい、なんかすげぇことになってんぞ」
トリックがそう言ったのにはわけがある。テーブルの盤面を見れば、完全にラビットたちが負けている。しかもかなりの賭け金だ。
「さぁ！まだ賭けるか？御三方」
「……え、ど、どうする！？」
ラビットがうろたえる。
「でも、勝たなきゃ、修理代用意出来ないじゃん…！」
チップが言う。
「オイラたちこのままだと…」
「ボロ負けだけど、大丈夫〜？」
レオがラビットの肩を後ろからぽんぽんと叩く。
「レ、レオ……！」
「ほんとにボロ負けじゃねーか」
「う、うるさいなぁ！イカサマ！」
チップが叫ぶ。
「で？お前らこんなに払えんのか？」
ラビットたちが俯く。
「なんでこんなことしたんだい？甲板にいないと思って来てみればこれだ」
「……修理代、せめて半分だけでも払おう思って…」
「でもさ、俺たちの給金じゃ全然足りなくて」
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作者名：玉うさぎ | 作成日時：2020年5月7日 21時
