金貨とカード,14 ページ14
「せめて、言い訳ぐらいしたらどうだ？」
バルボッサは椅子に座らせられ、うなだれている3人を睨む。
椅子に座らせられているのはチップとラビットとサンスプだ。3人とも椅子に身体を縛り付けられている。
「…ごめんなさい、キャプテン」
ラビットが呟く。
「これで何度目だ？ラビット」
「………3度目です」
「そうだ」
そう何が3度目なのか。
『船体に穴を開けた回数』である。
事の発端は、数時間前にさかのぼる。
3人でふざけていたら、振り回していた古いカトラスが砲台のロープを切ってしまったのだ。通常、砲台は海の揺れで動かないように戦闘時以外はロープで固定してある。当然、ロープを切られた砲台は揺れで船体の壁に激突、見事に穴が開いたという訳だ。
「…キャプテンっ！オイラが、オイラが悪いんだよい…！オイラが、カトラスなんて持ってくるから！」
「言い訳はいい！3人でふざけていたのは事実だろう！！」
サンスプが必死で叫ぶ。
『今、言い訳ぐらいしろって言ったじゃん』という言葉をチップは飲み込む。
「やってるねぇ」
ロレッタが階段上でその様子を覗きながら言う。
「あれ意外としんどいのよねぇ、椅子並べてすごい剣幕で怒られるの」
「そう思うなら、助けに行ってやれよ」
トリックがニヤリとロレッタの隣で言う。
「嫌よ。面倒そうだもの。まぁ、プッチはちょっとかわいそうだけど」
「派手にやったね」
レオがどうやら船体の穴を様子見して戻ってきたらしい。
「まぁ沈みはしないけど」
下でバルボッサの怒鳴り声が聞こえてくる。
「この責任はどうするつもりだ！？」
「し、修理代は、おいらたちで、払うから！！」
チップが叫ぶ。
「ほう？この船は普通の船よりも金がかかった船だ。それでも払うと？」
レオがため息まじりに下へおりていく。
トリックとロレッタはその様子を見ていた。
「そんな頭ごなしに叱りつけなくてもいいだろ？バルボッサ」
「レオか。あの穴を見ても言えるのか？そうやって甘やかせばつけ上がるぞ」
レオは困ったように微笑むと、ラビットたちを無理矢理縛っていたロープをほどく。
「ほら、3人とも行っていいよ。持ち場に戻って」
3人はとぼとぼと歩いて行った。
「そんなに怒らないでくれよ、ヘクター」
「そうやって何度甘やかせば気が済む？」
「修理代は僕が出すから。すぐに沈むわけじゃないんだ、いいだろ？」
バルボッサはレオの優しさに呆れ返るのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 15人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：玉うさぎ | 作成日時：2020年5月7日 21時
