ひび割れた、世界 ページ49
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「もう、心配したんだから！」
「ご、ごめん」
母が父に駆け寄ると、父はわたしから手を離して、母を強く抱きしめた。わたしは離れていってしまった手が寂しかったけど、安心して泣きそうになっている母と、申し訳なさそうに、優しく母を抱きしめる父を見て、その寂しさの上に、ふわっと嬉しさが広がった。
今思えば、その寂しさは未だに、わたしの中にこびりついているんだけど。
またいつもの日常が帰ってきた。
でもそこから少しして、事件が起きた。
「アツッ！」
「ごめんなさい！！」
母が、父に出すために準備していたお茶をこぼしてしまった。
「大丈夫だよ」
アチチ、なんて言って父はお茶のかかってしまったズボンをパタパタし、一緒に濡れてしまった机を拭こうと台拭きに手を伸ばした。
その時、
「あっ」
「きゃっ！」
父が台拭きに伸ばした手が、お茶の入っていたコップに当たり、わたしにお茶がかかった。
「A大丈夫？！」
「ウぇっ、オンマっ、熱いィ」
泣き出すわたしに駆け寄り、お茶のかかってしまったわたしの袖を巻くってくれた。
「熱かったね、びっくりしたね〜」
とあやすように抱きしめてくれる母。
えぐえぐ泣いていたわたしがよく覚えている、彼女の優しい声だ。
わたしは、泣き虫だったと思う。
「う、うっく」
「落ち着いた？」
「うん、オンマごめんなさい」
「大丈夫、Aは悪いことしてないよ」
「うう」
その言葉に安心して、母の腕の中から父の方を見た瞬間だった。
ガンッ！
大きな音と、大きな衝撃が身体を包んだ。
「あ、なた？」
「はァ、はァ、うるさい！」
首と頭が痛かった。
目を開けると、わたしは母の腕の中にいたけど、母はわたしごと床に倒れ込んでいた。
「アッパどうしたの？」
「どうせ、俺が悪いんだって、思ってるんだろ！」
「アッパ？」
「やめて！Aここにいなさい！」
痛むのか、力の入らない母の腕を抜け出して父に近寄った。だって、どうしたの。さっきまで微笑んで、ごめんごめんって、頭を撫でてくれて父だったのに。怒ったことなんてない、優しい父だったのに。
「アッパ、どうしたの？」
立ち上がり肩を上下させる父は、何に怒っているんだろう。
「お前だって、俺のせいだって」
「A！こっちに来なさい！」
父はゆっくりわたしの肩をその大きな手で掴むと
「思ってるんだろ！」
思いっきり、わたしを床に叩きつけた。
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笹貝(プロフ) - キリエさん» コメントありがとうございます、とても嬉しいです！宿舎にステイするのは短いのですが、引き続き楽しんで頂けたらとても嬉しいです。コメントありがとうございました！ (2020年1月18日 1時) (
レス) id: 79fcfd664c (このIDを非表示/違反報告)
キリエ(プロフ) - 宿舎がでたー！！！更新いつも楽しみにしています(^^) (2020年1月18日 0時) (レス) id: 0d453b5c60 (このIDを非表示/違反報告)
笹貝(プロフ) - ヨウさん» 気づくのが遅くなってしまって本当に申し訳ございません！ヨウ様、嬉しいお言葉をありがとうございます。ついにお姉さんと再会させることが出来ました。この先も引き続き楽しんでいただけたらとても嬉しいです。よろしくお願いします。遅れて本当にすみませんでした！ (2020年1月3日 9時) (レス) id: d9c5ea27b6 (このIDを非表示/違反報告)
ヨウ(プロフ) - 離れたからこそわかるメンバーがお姉さんを思う気持ちと会えない切なさで、胸が締め付けられるような思いです。グクがお姉さんと会ったことでこれから起こる展開にも期待しています！ (2019年12月23日 19時) (レス) id: cbfca537cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：笹貝
| 作成日時：2019年12月20日 19時
