メンタルケアのお姉さん【BTS】

うつりこみたい ページ30

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(TH side)



ビックリした、

ヌナが真剣に頭の中で巡らせていたもののなかに、俺がいて、俺の爪のことを覚えていてくれたヌナに。


TH「ひひっ」

ﾒｲｸﾇﾅ「テヒョン、じっとして」


俺は、幸せを噛み締めていた。

今ならこの、あまり好きになれないメイクヌナにだって、ずっと顔を触らせてあげるし、一週間休み抜きで踊り続けろって言われたって、きっと完璧にこなしてみせる。


そんな馬鹿みたいなことを考えてしまうくらい、

ヌナのそのたった一言で

俺は心が和らいで、同時に胸の奥が締め付けられて、だけど背中を強く押してもらったような気持ちになった。



たった今、ずっと触らせてあげてもいいなんて思ったばかりだけど、やっぱり早く終わらせて欲しい。



TH「(早くヌナのとこに行きたい)」




ヌナに、俺のことを見て欲しい。









＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿





はい、終わり。


その言葉と同時に俺は勢いよく立ち上がって、お礼もそこそこにヌナの元へ向かった。俺の背中に視線を飛ばしてくるメイクヌナには気づかないふり。



TH「ヌナただいま！」

JK「ヒョン！」

「おかえりなさい」

TH「いひひ、ジョングガ、次お前だって」


げぇーっと言いながら、ジョングガもヌナに"いってらっしゃい"を貰い、メイクをしに行った。



もう本を開いてもいないヌナは、静かに俺の目を見ている。



話しを聞いてくれるとこも

さりげなく俺たちのことを見ていてくれるとこも

明らかに浮いている、
落ち着いたヌナに合わないTATAのクッションをちゃんと持ち歩いてくれているとこも

俺たちにちゃんといってらっしゃいをくれるとこも






全部、好き。



でもやっぱり俺は、ヌナの目が一番好きだと思う。


特別大きい訳でも、造形が整っている訳でもないんだけど、どこかひとつだけ、ヌナの一部分を独り占めできるって言われたら、俺は目を選ぶ。



その目に俺が映るだけで、胸の奥が
暖かくなるのに、でもきゅっと苦しくなる。



だけど息苦しくはない

まるで母親に強く抱きしめられているような、無償の愛が散りばめられた夜空に、吸い込まれていくような感覚に包まれる。



無表情なのに、底抜けに優しい君は


俺を見つめて、その綺麗な夜空の向こうに何を思っているのだろう。






TH「ねえヌナ？」

「はい」





君のなかに、少しでも俺は入り込めてるかな。


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