【MASHLE】マドル家の末娘

２８話　私と価値の証明法 ページ36

高等部に上がってから一度も会えていなかった私の友達




私が手紙を出してからも会えていなかった




「僕がいないといつも一人だな」




「今日はたまたま。いつもって訳じゃない」




「…A、神覚者候補選抜試験、受けるのか？」




「決めてない…カルパッチョは？まあ、それよりも研究だろうけど」




「出るけど」




「…え？」




意外だ、カルパッチョが研究以外に興味を持つなんて




「A」




「どうしたの？」




「出るなよ、選抜試験」




「…は？」




意味がわからない




”出るなよ？”？




でもなんで…




「どうゆう事？出るなって…意味わかんない…」




「そのままの意味だよ、なにも分かんないんだろ？」




「…聞いてたんだ…」




確かに何も分からなくなった




“価値なんて言葉で片付けれない人間になる”って、ずっと決めてた




でも…考えに縛られて、囚われて、固執して…何も分からなくなって




「なあ、オルカに入れよ。Aの実力なら問題ないだろ？」




”レアン以外に価値はない”と言わしめるほどレアン寮出身が多いマドル家(私の家)




そんな中で別の寮を望んだ私




両親には“レアンがダメでも最低限はオルカ”と言われた




母はオルカ寮出身だった




でも




「…私はアドラだから、転寮するつもりはない」




「…あっそ…僕はもう行くよ」




「うん、久しぶりに会えてよかった。またね」




少し考え込んで、立ち去っていくカルパッチョ




なにも分からない、か




ただの言い訳かも知れない




本当は、逃げてるだけなのかもしれない




自分の価値を思い知らされるのが怖いから




だったら…




逃げずにやってやる、私が私の価値を認めればいい




そうしたら価値は揺らがない




だから




「ごめんね…私、選抜試験に出る」

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