【MASHLE】マドル家の末娘

１０話　私とワース兄様 ページ12

…人酔いしそう




やっぱり人が多いのは昔から苦手だ




せっかく誘ってくれたのに申し訳ないな…




早く帰って少し寝ないと体調崩す気がする




「疲れた…」




ボヤきながら歩いてると誰かが前から歩いてきた




「おいA、こんなとこで何やってんだ」




まさかこんな所で会うなんて…




「ワース兄様、お久しぶり、です…部屋に戻るところで…」




ワース兄様、私の兄の一人でレアン寮所属




私と違って小さい頃から優秀であまり人見知りをしない立ちだった




年が近い分、オーター兄様よりもワース兄様と比べられる事が多かった




兄様達が嫌いかと聞かれると、決して嫌いという訳ではない




むしろ小さい頃は仲が良かった




ただ、今となってはどうしても苦手で、私のコンプレックスの塊のように感じて、兄様達自体が分からなくなっていた




「ドゥエロ、見に行ってたのか？」




「一応…ワース兄様は？」




「レアン(うち)の監督生に呼ばれてんだよ…てかお前、なんでレアンじゃないんだよ」




「…すみません…」




こうやって兄様と対峙する時はいつも思い知らされる気がする




兄様達には価値があり、私には価値がない、と




だからこそ、レアンじゃなくて他の寮は入って自分自身で価値を証明するって決めたのに…




それが揺らぐような気がして仕方がない




「…ッチ、いっつも謝ることしかしねぇよなお前は」




「…ッッ、すみません」




「いちいち謝ってくんな」




「…はい……では私はこれで…」




そう言って、私は足早に部屋に向かう




早くその場を離れないといけない気がした

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