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──…また違う日の夜。



仕事が遅くなって、お風呂も長引いて、

もう寝たかな、って慌てて飛び出したら

この日は何故か、お布団の中でごろごろしながら

スマホを弄ってた拓也。あれ、起きてた。って言ったら

なんか眠れない。って、そんな返事が返ってくる。






「お布団入ったらすぐ寝るのに」

「俺は小学生か」

「だっていつもそうじゃん」




並んだ基礎化粧品を、右から順に手に取って

お肌にしっかりと馴染ませていく。

すると、背中に痛いほど視線を感じたから

鏡越しに背後を確認すると、ばち、って目が合った。






「…どしたの?」

「すっぴんも可愛いなと思って」

「え、何、なんか変なものでも食べた?」

「はぁ?」



何だよそれ、って笑う拓也を見ながらも、

忙しなく手は動かしていく。



だって、待たせちゃったから。

早く、拓也の隣に行きたいから。

はやく、はやく、…ぎゅって、してほしい。





「お待たせっ」

「別に待ってないですけどー?」

「……」

「うそうそ、冗談だって」




待ってた待ってた、って続けながら

拓也がぎゅーって抱き着くから、その香りと、

腕の強さと、体温にほっとしながら、私もぎゅーって

おんなじように、抱き締めた。





「仕事お疲れ」

「拓ちゃんも、練習お疲れ様」

「今日さぁ……」






いつもなら、割と直ぐに眠りにつくけど

この日の拓也はお布団の中でいろんな話を

聞かせてくれた。けど、仕事のせいで今日ばかりは

私が先にうとうとし始めた事に気付くと、ぽん、って

優しく頭を撫でてくれて、…そう、眠りに落ちる前に

見えたのは、だいすきな、拓也の笑顔、






「…おやすみ、A」









(その笑顔は、もうどこにもない)





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千花(プロフ) - ゆみさん» コメントありがとうございます♪♪これからも頑張りますね!お時間のある時にお付き合い下さい(^-^) (2018年5月2日 13時) (レス) id: 0df86c7d6a (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ(プロフ) - 更新頑張ってください。応援しています。 (2018年5月1日 9時) (レス) id: 2656059692 (このIDを非表示/違反報告)
千花(プロフ) - 凛*.さん» 読んで下さりありがとうございます!凛さんの心を動かすことが出来て嬉しいです…!一気に書き上げたので不安があったのですが、感想をいただいてホッとしました(o^^o) (2018年4月26日 13時) (レス) id: 0df86c7d6a (このIDを非表示/違反報告)
凛*.(プロフ) - コメント失礼します´`*読みながら胸がジーンとして、最後のシーンで涙が出ました( ; _ ; )繊細な表現もとっても素敵でした!!完結、お疲れ様です^^ (2018年4月25日 22時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:千花 | 作成日時:2018年4月24日 13時

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