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私の新しいお城。


小さな三階建てのアパートの、最上階の角部屋。

1Kのこじんまりとした部屋の隅には、

これまたこじんまりとしたベッドを置いた。









「せっま」

「…仕方ないじゃん」




ほら、もうちょっと詰めて。って言いながら

グイグイと拓也を壁際に追い込む。

その度に、狭い狭いと言う拓也を無視してたら

むぎゅ。って、抱き締められた。







「…」

「…」

「…」

「…拓ちゃん、」





苦しいよ。って身動いだら、

ほんのちょっとだけ腕の力が弱くなったから

その隙に楽な体勢にして、身体を寄せた。




ふわ、と香る、おんなじボディソープの香りと拓也の匂い。

すん、と鼻を寄せたら、何、臭い?って笑うから

もう、ムードも何もないなぁって文句をひとつ。





「…拓ちゃん、」

「ん?」




ほんの少し掠れた拓也の声が、甘く、鼓膜を震わせた。



可愛いと思ってたら、これだ。

不意打ちで格好良い所見せてくるの、…反則。






「A、」

「…なに」

「心臓はっや」

「…るさい、」




ふ、と優しく笑う拓也の声が心地良くて、

とびきりドキドキして、…この先を期待せずにはいられない。







「A、こっち向いて」

「…」

「……好きだ」









私も、って返事は、

唇ごと全部、奪われた。









(今でもまだ、あなたと交わしたキスが忘れられないの)









.

03「他愛もない話」→←02「小さなベッド」



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千花(プロフ) - ゆみさん» コメントありがとうございます♪♪これからも頑張りますね!お時間のある時にお付き合い下さい(^-^) (2018年5月2日 13時) (レス) id: 0df86c7d6a (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ(プロフ) - 更新頑張ってください。応援しています。 (2018年5月1日 9時) (レス) id: 2656059692 (このIDを非表示/違反報告)
千花(プロフ) - 凛*.さん» 読んで下さりありがとうございます!凛さんの心を動かすことが出来て嬉しいです…!一気に書き上げたので不安があったのですが、感想をいただいてホッとしました(o^^o) (2018年4月26日 13時) (レス) id: 0df86c7d6a (このIDを非表示/違反報告)
凛*.(プロフ) - コメント失礼します´`*読みながら胸がジーンとして、最後のシーンで涙が出ました( ; _ ; )繊細な表現もとっても素敵でした!!完結、お疲れ様です^^ (2018年4月25日 22時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:千花 | 作成日時:2018年4月24日 13時

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