57 ページ10
.
ツ、と顎のラインに沿って汗が伝い、落ちていく。
相変わらずAは俺と目を合わせないように
していたけど、その落ちた汗を見てチラ、と上目がちに
見上げてくるから、その瞳と目が合った刹那、
心臓が強く脈打ったのが分かった。
「…A」
「巨く、」
ふ、と熱い吐息が、頬を掠めた。
それくらい至近距離にいて、あと、ほんの少し。
…というタイミングで、ガチャン。と、鍵の開く音がしたから
慌てて顔を離した。それから、Aとの距離も。
「おーーーほんまにおった！」
室内練習場にぐわん、と響いた大きな声。
聞き慣れたその声は、ギータさんだった。
「帰ろうとしたら、何かここに閉じ込められとる奴が
おるってこのおっちゃんが言うから、そーいや残ってんの
俺とナオくらいだったなーと思ってついてきた」
俺と、恐らくAも思っていたであろう
どうしてここにギータさんが？という疑問を
口にするより先に教えてくれたギータさん。
すると漸く、ギータさんがAに気付いたらしい。
パーカーのポケットに手を突っ込んで、扉の淵に
寄り掛かったままにやぁ、と笑うから、
あ、嫌な予感がする。と、思った時にはもう遅くて、
「あー…もしかして、邪魔した？」
「言うと思いました」
「ナオもやるやん」
「違いますから」
ね。と、同意を得るためにAを見たら
必死になってこくこくと頷くから、そんなAを見て
ギータさんは逆に怪しいわぁ。って、まだニヤついてる。
「君あれやろ、噂のAちゃんやろ」
「う、噂…？」
「俺たちの間で有名人やけん」
「えっ？！」
「…ギータさん」
ギータさんの発言に慌てるA。
これ以上好き勝手話されると、余計な事を
言われそうな気がして、たまらず割って入った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 311人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「プロ野球」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
千花(プロフ) - Annaさん» そんな風に言ってもらえて嬉しいですありがとうございます〜！！！大丈夫です、まだまだ続きます！（笑）二人の焦れったさを楽しんでもらえたら嬉しいです...！ (2018年4月30日 9時) (
レス) id: 0df86c7d6a (このIDを非表示/違反報告)
Anna - やばいです！やばいです！切なくなってきた…(._.`)なんかもうドキドキキュンキュンしまくりで心臓が着いていかないです…！！！早くくっついて欲しい気持ちもあるんですけど、この作品終わって欲しくない気持ちもあります……！！！ (2018年4月30日 0時) (レス) id: 750bd17728 (このIDを非表示/違反報告)
千花(プロフ) - Annaさん» ありがとうございます〜！なんとか2までやってきました。まさかこんなに長くなるとは思ってなかったです...（笑）そろそろくっつけないとですね、流石に、、とは思いつつも、まだまだかかりそうです。頑張ります...！（笑） (2018年4月23日 13時) (レス) id: 0df86c7d6a (このIDを非表示/違反報告)
Anna - その声が僕を呼んだなら2おめでとうございます！時間ある時にいっつも1から読み直してニヤニヤしてます笑巨くんと付き合えるのはまだかなーって思いながら読んでます！更新楽しみにしてます！！^^* (2018年4月21日 22時) (レス) id: 750bd17728 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：千花 | 作成日時：2018年4月14日 18時
