その声が僕を呼んだなら

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横目でAちゃんを見たら

口元に手を当てて窓の外を見ていた。

あぁ多分、余計な事言っちゃったな。って

恥ずかしくて、後悔してるんだと思う。







「何か食べた？」





信号が青に変わるのと同時に、そう問い掛けた。

Aちゃんは相変わらず窓の外を見ていたけど

何も食べてないです。って言いながら、漸く前を見て

東浜選手は？って、そう問い返してきた。







「俺も。…てかさ、」

「…？」





俺、ずーっと気になってた事があるんだよね。

どんな反応するか、…まぁ大体想像はつくけど。








「その呼び方、やめない？」

「え？」

「東浜選手、って」








…あ、また信号に捕まった。

シートの背凭れに深く沈んでそのまま、

ちら、と横目でAちゃんを見たら

ほらやっぱり、きょとん。ってしてる。






「でも東浜選手は東浜選手ですし、」

「あ、あとそれも」

「？」

「敬語。…同い年じゃん、俺ら」

「え、っと…」






別にAちゃんを責めるつもりはないけど、

どんな反応するかな。って悪戯心が先行して

じぃ…っと見つめたら、微かだけど、

じわりと頬が赤くなってる、ような。








「で、でも、…東浜選手と私とじゃ立場も違うし、」

「今は一緒じゃないの」






間髪入れずにそう答えたら、

やっと、…やっと、Aちゃんと目が合った。









「今はユニフォームも着てないし、

…ただのどこにでもいる、一人の男だよ」





…

……

………








…ってあれ？

何か俺、とんでもなく恥ずかしい事、言ってない？









「…やっぱ今のなし、」


「へ、」








やばい、汗かいてきた。






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