その声が僕を呼んだなら

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──…キャンプも第3クールを迎えた頃。









「千賀おはよ」

「またインスタっすか」

「さあ？」

「盗撮ばっかするもんこの人」



嫌だわほんと。なんて言いながら

もはや恒例となった柳田さんと千賀のやり取りを聞きながら

窓際の席に座っていた俺は、随分と暖かくなった宮崎の空を

見上げた。そしてぐす、と鼻を啜る。




…何かあんま、調子良くないかも。

でも風邪とかそういうのじゃなくて、

多分、ちょっと疲れが出てきたかな。






(…冷た、)



腕を組んで、コツ、と窓に額を押し付ける。

それが心地良くて、バスに揺られながら目を閉じた。









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「おはようございます」




彼女、…白石さんに、休みはないんだろうか。

ほぼ毎日、ここで見てる気がする。





特に会話をするわけでも、

柊太や飯田みたいに一言二言話すわけでもなく。



いつも通り、音になってるか分からない、空気に

溶けてしまいそうな、それくらいの声量で挨拶を返して

白石さんの前を通って、ロッカールームへ。









今日も予定通りメニューをこなし、

昼食を終えて午後の練習へ向かおうと外に出た。

専用通路に出れば、わっと集まるファンの人達。








「選手の方が通ります、止まってくださーい」







いつもの場所、

いつもの台詞、




けど、いつもと何かが違うような、









「……、…？」








俺の斜め前にさっと出てきたかと思うと、

室内練習場までの直線を、誘導するように歩く白石さん。



いつもの場所は、と振り返ると

そこには別の警備さんがいて。








「──…無理しないでくださいね」

「え？」





反応が少し、遅れてしまった。

白石さんが足を止めていたから、

つられて俺も、室内練習場を前に足を止める。







「無理しないでくださいね」…って、どういう、









「顔色、良くないように見えたので」





違ったらすみません。

それだけ告げると、頭を軽く下げた白石さんが

いつもの場所に駆け足で戻っていく。









(……何で、)





普段一緒にいるチームメイトにも

トレーナーさんにもバレなかったのに、









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