その声が僕を呼んだなら

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(you side)









「いい天気だね」



ロッカールームから室内練習までの道のりを

誘導していたら、背後からそんな声がした。

ちら、と上空を仰ぐと綺麗な青空が広がっていて。





…何でかな、いつも当たり前にある空が

特別な青空に見えてしまうのは、





「ですね」

「あ、ごめん。タメ口、」

「いいですよ、全然」




実は昨日、スマホで調べてしまった。

東浜選手が、どんな選手なのか。


そしたら同い年だし、

去年の最多勝投手だし、

これって、すごい事だよね？

一番勝った人。ってことだもん。


野球が上手くて、それでこの容姿なら

人気が高いのも頷ける。女性ファンが多い訳だ。






「今日は顔色バッチリですね」



短い距離だから、あっという間。

室内練習場を前に足を止めて振り向くと

きょとん、とした東浜選手の表情が見えた。






…どうしよう、その顔、ずるい。
(可愛い、なんて思ってしまった、)









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球団の職員さんと、明日のイベントについて

最終打ち合わせをし終えた後、もはや日課と

なりつつある園内の最終点検兼、ごみ拾いをしていたら

背後から声を掛けられた。びっくりしたけど、誰だか分かる。

この声は、…東浜選手だ、って。






「…明日、いるの」

「え？」





お疲れ様です。そっちこそ。と、

そんなやりとりの後、何の前触れもなく聞かれたから

今度は私が、きょとん、としてしまった。






一度目が合って、どき、とした。

けどすぐに逸れて、それがどうしてか残念に思えて、

……って何、これ。残念だなんて、どうしてそんなこと、






「……」

「……」





沈黙が、二人を包む。

けどそれは決して嫌な沈黙じゃなくて、

むしろもっと、…もっと、この時間が続けばいいのにって

そう思えるくらい、自然で、心地良いものだった。








「……あの、」

「…ん？」

「甘いものは、…好き、ですか」






でも、その沈黙が気恥しくなって

耐えきれなくなった私は、苦し紛れにそんな事を口にしていた。








明日きっと、

沢山の人から貰うって、分かってるけど、







「…まぁ、…うん、好き」









東浜選手の口から出た「好き」って言葉に、

またひとつ、心臓がうるさく鳴ったのが分かって、









(………もしかして、私、)









この人に、恋を、

してしまったのかもしれない。









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