その声が僕を呼んだなら

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逆チョコイベントも無事に終え、

最後の最後にチョコを差し出してるような

そんな写真を撮られてしまったけど、

まぁ、…ファンの皆が喜んでくれるなら。






「ナオ、お前これどうすんの」



翔さんが言うこれ。とは、

段ボールに入れられた差し入れの山と

それに入り切らなかった差し入れの山だ。




誰かに手伝ってもらおうと辺りを見渡したら、

意地悪く笑った翔さんに「自分のものは自分で運べよ」

…と、言われてしまったもんだから、






「おっも…！」

「モテ男は辛いな」

「いや、翔さんも凄い量じゃないですか、」




入り切らなかった分はぶら下げて、

それから段ボールを抱き抱えて外に出る。

バスに向かう道中にも差し入れを貰って、

いや、ちょ、…皆も楽しんでるでしょ、これ、






「足元気を付けて、」

「あー…ごめん、ありがと」

「そこにも段差があります」




俺が困った時、スっと俺の前に現れて

何の不自由もないように誘導するAちゃん。

普段からもきっと、気配りの出来る子なんだろう。







「Aちゃん、」

「…は、はい、」






…あ。声が上擦った。

まだ名前で呼ばれるの、慣れてない。とか？








「朝言ったこと、覚えてる？」

「はい。…でも、」




横を見る余裕が無いから表情は分からないけど、

声を聞けば、大体分かる。こんな荷物があるのに

どうするつもりなんだろうって、君は困ってるんだよね。









「一度ホテルに戻ってまた来るから」

「え…」

「だから約束ね」




それまでに仕事終わらせといてよ。って

重くなり過ぎないようにそう付け足して

沢山の荷物と一緒にバスに乗りこんだ。









(ホテル行って着替えて…)





そしたらすぐ、またここに戻ってこよう。


空の色が、薄らオレンジに染まる頃に。





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